朝ごはんを買いに行くだけで命懸け―。北海道の離島の一つである利尻島の豪雪映像が、SNS上で話題となっている。24日夜に暴風雪警報が発令され、街の一面が雪に覆われ、大人が雪を掻き分けながら歩く映像。撮影者は隣の礼文島在住の男性で、利尻島へ訪れていた際に撮ったという。衝撃を集めたのは、翌朝のことだ。食料の備蓄がないため、朝食を求めて近くのコンビニ「セイコーマート」に向かうと、いつも通り開いていた。このコンビニ、実は…。
胆振東部地震でも活躍
投稿したのは、礼文島育ちの僧侶・齊藤大乗さん(38)。山登りが趣味で、利尻島のガイドの勉強のために18日から泊まり込みで訪れていた。積雪は増えていくばかりで、雪で視界が真っ白になる現象「ホワイトアウト」も体感。暴風雪警報が出た時には腰から膝まで積もっていたといい、「こんなにこの地域に雪が積もるのは生まれて初めてです。災害ですよ」と話す。
セイコーマートには25日朝9時頃に訪れた。寮生活のため食料もなく、雪道を10分ほど歩いて到着。開いていると分かった瞬間、「さすが…我らのセーコマ」と感謝したという。配送も止まっており、ほとんど陳列されていない商品棚。それでも、店舗にある備蓄で、手作りのおにぎりなどを振る舞ってくれた。
「道は死んでるのにセーコマは生きてる…無敵かよ…」。齊藤さんがそうXに投稿すると、反響は続々。セイコーマートは2018年、最大震度7の地震で北海道全域が停電した胆振東部地震で、95%の店舗が営業を続けたとされる。街灯や信号機が消えて真っ暗になる中、営業していた店のレジには市民が長蛇の列を作り、食料や飲料を買い求めた。今回、大雪の中でも営業していたことで当時のことを思い出した人も多く、「最強、北海道のライフライン。もう、北海道民はあなたのいない生活は考えられない。ありがとう」などの声が集まった。
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各島を管轄する役場によると、昨年12月末時点で礼文島の礼文町には2253人、利尻島の利尻町には1865人、利尻富士町には2191人が暮らしている。