ドラマ「セクシー田中さん」脚本家は「苦い経験」ドラマ終盤は漫画家が脚本執筆「二度と繰り返されませんように」

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日本テレビ系で2023年10月~12月に放送されたドラマ「セクシー田中さん」の原作者で、漫画家の芦原妃名子さんが1月26日、自身のX(旧Twitter)を更新した。ドラマ制作をめぐり、「毎回、漫画を大きく改編したプロットや脚本が提出されていました」と原作漫画を尊重しない映像化に悩まされていたことを明らかにし、「私が9話、10話の脚本を書かざるを得ない」と劇終盤の9話、10話の脚本を手がけた理由を説明した。

一方、テレビドラマ版の脚本を1~8話まで手がけた脚本家、相沢友子さんは2023年12月、自身のインスタグラムで「脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しました」「今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした」とドラマ終盤の脚本を原作者の芦原さんが担ったことを「苦い経験」とつづり、「どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように」と書くなど双方の見解が食い違っている。

芦原さんは冒頭、「この文章を書くにあたって、私と小学館で改めて時系列にそって事実関係を再確認し、文章の内容も小学館と確認して書いています」と出版社と相談した上で、ドラマ脚本についての経緯説明を始めた。

自らが執筆した漫画「セクシー田中さん」については、「自己肯定感の低さ故生きづらさを抱える人達に、優しく強く寄り添える様な作品にしたいという思いが強くあり、ベリーダンスに纏わる方々の思いにも共鳴しながら、担当編集と共に大切に描いてきた漫画です」と作品への思い入れを語り、ドラマ化の条件については複数の条件を挙げた。

映像化の条件は、「必ず漫画に忠実に」、漫画に忠実でない場合は「漫画に忠実でない場合はしっかりと加筆修正をさせていただく。」、ドラマ終盤の展開については未完の漫画に影響を及ぼさないよう「原作者があらすじからセリフまで」用意する、とした。

また、原作者が用意したものは「原則変更しないでいただきたい」と原作漫画をできる限り尊重するよう求め、「場合によっては、原作者が脚本を執筆する可能性もある」と原作者の芦原さんが脚本を担う可能性についても言及した。

芦原さんは「これらの条件は脚本家さんや監督さんなどドラマの制作スタッフの皆様に対して大変失礼な条件だということは理解していました」といい、「この条件で本当に良いか」と日本テレビに何度も確認を取った上で、ドラマ化の運びになった。

にもかかわらず、「毎回、漫画を大きく改編したプロットや脚本が提出されていました」と約束を反故にされ、「原作とは別人のようなキャラクターに変更される」、「作品の核として大切に描いたシーンは、大幅にカットや削除され、まともに描かれておらず、その理由を伺っても、納得のいくお返事はいただけない」「他にも細かなところは沢山ありました」と原作と異なる設定、流れとなったとした。

芦原さんはドラマ放送終了まで脚本家と会う機会がなく、「監督さんや演出の方などドラマの制作スタッフの皆様とも、ドラマの内容について直接、お話させていただく機会はありませんでした」と番組制作中に現場スタッフと言葉を交わす機会はなかった。

そんな中、芦原さんは「枠にハマったキャラクターに変えないでいただきたい」「私はドラマ化を今からでもやめたいぐらいだ」と何度も訴え、脚本を加筆修正し、「やっとの思いでほぼ原作通りの1〜7話の脚本の完成にこぎつけました」と漫画執筆と並行して脚本を手直しした。「当初お伝えした『ドラマ化の条件』はどうなってしまったのだろう?という疑問を常に抱えた状態での加筆修正の繰り返しとなって、その頃には私も相当疲弊していました」と振り返る。

終盤のドラマ展開についても、「私が準備したものを大幅に改変した脚本が8話〜10話まとめて(テレビ局側から)提出されました」と内容が大幅に変わった台本が戻ってきたといい、「特に9話、10話の改変された脚本はベリーダンスの表現も間違いが多く、ベリーダンスの監修の方とも連携が取れていないことが手に取るように分かりました」と誤りも散見されたといいます。

放送日が迫る中、「『原作者が用意したものをそのまま脚本化していただける方』に交代していただきたい」と日本テレビに脚本家に交代を要請したところ、9話、10話の脚本は芦原さん自ら執筆する運びとなった。

芦原さんは「素人の私が見よう見まねで書かせて頂いたので、私の力不足が露呈する形となり反省しきりです」と9、10話の脚本制作を振り返りつつ、「漫画『セクシー田中さん』の原稿の〆切とも重なり、相当短い時間で脚本を執筆しなければならない状況となり、推敲を重ねられなかったことも悔いてます」「どのような判断がベストだったのか、今も正直正解が分からずにいますが、改めて、心よりお詫び申し上げます」と視聴者に謝罪した。

一方、ドラマ「セクシー田中さん」の脚本を8話まで務めた相沢友子さんは昨年12月、自らのインスタグラムで「最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました」と主演の木南晴夏さんとのツーショット写真ともに文章をつづり、脚本交代を「困惑」と表現した。

続いて投稿したインスタグラムには1~8話までのセクシー田中さんの脚本の写真を投稿し、「私が脚本を書いたのは1〜8話で、最終的に9・10話を書いたのは原作者です。誤解なきようお願いします」とあらためて説明した上で、「今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした」「この苦い経験を次へ生かし、これからもがんばっていかねばと自分に言い聞かせています」「どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように」と表現した。

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