TBS系バラエティ番組「櫻井・有吉THE夜会」(木曜午後10時)が18日に放送した企画「方言禁止記者会見」がネット上で物議を醸しています。沖縄県出身の俳優は沖縄弁の質問に対し、つられることなく全て標準語で答えられるかチャレンジするという内容。
番組を見た人の中には、明治から昭和にかけて沖縄の方言を禁じた「方言札」を連想した人も多く、SNS上では「沖縄出身者に方言禁止をやらせるとは」「方言札を知らないの?」「制作担当者は方言札をググって!」「方言禁止をエンタメ化してる」「この企画にOK出たの?」「誰も止めなかったの?」など疑問を呈する声が広がっています。
方言札とは、沖縄の学校で標準語を普及させるため、沖縄の方言を使用した生徒は見せしめのために首から札を掛けられるという罰。明治40年ごろから第二次世界大戦後まで続いたといわれています。
番組制作側は歴史的背景を知った上で企画を進行したのでしょうか。
TBSテレビ(東京都港区)広報・IR部は、まいどなニュースの取材に対し、次のようにコメントしました。
「当該企画は、『どんな役も見事に演じ切る俳優さんでも、自身の出身地の方言には釣られてしまうのではないか?』を検証するもので、過去に別の俳優さんで同様の企画を放送した際は好評だったこともあり、沖縄の歴史的背景についての十分な検討ができておりませんでした。今回の企画が差別的であるとのご指摘は、私どもとして真摯に受け止めており、今後の番組制作に活かして参ります」
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同番組は昨年12月にも長崎県出身の俳優が方言を我慢する企画を放送しており、今回は前回に続くシリーズ。ゲーム性を全面に出した演出となっており、方言3回でアウト、ゴーヤチャンプルーなど方言の入った料理名もNG、イントネーションはセーフなどのルールを設けていました。
沖縄の言葉をめぐる歴史的背景に配慮していないという意見がある一方で、「放送見たけど何とも思わなかった」「こんな遊びも許されないんですか」「そんなこと言ってたら何もできない」「番組を見てもない人が炎上させたいだけでは」「騒ぐ方が面倒」といった声もありました。
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沖縄県では子どもたちに向けて、公式ホームページの中で沖縄の歴史を分かりやすく解説しており、「方言札」については次のように説明しています。
「明治時代、日本本土の標じゅん語の使用をすすめたせい府は、沖縄の学校で沖縄の言葉(しまくとぅば)を使うことをきん止しました。沖縄の言葉を使った子どもは、次に使う人があらわれるまで、板でつくった『方言札』を首からぶら下げるという、罰を受けました。標じゅん語を定着させようとするこの運動は、昭和まで続きました」(ホームページから引用)