笑顔が可愛い犬に一目惚れ
犬のロッキューくん(推定6歳・雑種・オス)は、青森県動物愛護センターで保護されていた。保護当時は推定4歳だったという。
青森県在住の北さんは、2021年2月に15年間共に過ごした先代犬(雑種・メス)を亡くした。「私はどうにか喪失感も乗り越えられましたが、彼女を溺愛していた母のペットロスが非常に大きく、『一度愛護センターに行ってみよう』と持ちかけました」
6月9日、動物愛護センターの譲渡会に行ってみると、誰に対しても尻尾をぶんぶん振って自ら近寄っていく人懐っこい犬がいた。「他の子は興奮してワンワン吠えている中、ロッキューは、目をキラキラさせながら無言のままこちらを見据えていました。笑顔が可愛すぎて、母よりも私のほうが一目惚れしてしまい、その場で即決しました。隣のケージにいたワンコたちとも良い関係が築けていたようで、それもまた決心を後押しした大きな要因の一つです」
ロッキューくんは、愛護センターで「ふれあい犬」という大事な役割を担っていたのだが、北さんは納得のコミュニケーション能力を感じたという。
愛されてお殿様状態に!?
そのまま家にやってきたロッキューくん。初めての場所、初めての人なので、いくらか緊張はしていたかもしれないが、すぐに家族とも打ち解けて「ここがぼくのあたらしいおうち」だと認識してくれたようだった。
「名前は、譲渡された日が『6月9日』なので、当初は『ロック』にしようかと思っていた。しかし、『キュー』のほうが可愛いということになり、『ロッキュー』にしました。英語表記はもちろん『Rock You』(ぶちのめせ)です(笑)」
ロッキューくんは穏やかでフレンドリー。一方で好奇心旺盛でアクティブな面もある。家では好き放題にさせているからか、自分のことを人間だと思っているようで、ほとんどお殿様状態だという。
若い女の子(人間)が大好き。散歩中、小学生~高校生ぐらいの女の子とすれ違おうものならグイグイ近寄って行って「なでてなでて~」と全力で可愛いアピールを発動する。「誰に似たんでしょうか。ワンコ同士よりも人間と接することのほうが圧倒的に好きなようです」
食べることも大好きで、ロッキューくんの手が届く場所に食べ物は絶対置いておけない。「ある日自室に私の夕食を用意して、トイレか何かでほんのちょっと部屋を離れて戻ると、おかずが全てキレイになくなっていました。犬が食べてはいけないものがたくさんあるので、その点は十分用心するようになりました」
現在、ロッキューくんを中心に回っている暮らしだという北さん。室内での排泄ができない子なので朝夕1時間のお散歩は欠かせない。「どんな悪天候だろうが完全防備で外出します。中年太りを回避できているのはロッキューのおかげです」
北さんのお母さんは2023年6月に亡くなったが、母は毎晩北さんの部屋に来て、ロッキューくんと遊んでくれた。ロッキューくんにとってお母さんは一番甘やかしてくれる存在で、最後の最後までベタベタに愛してくれた。「それまで犬には特段興味のなかった父も、今では母に代わって甘やかしてくれていて、確実に愛着が増していると思います。私には子供がいないので、おそらく孫と接するような感覚なのだと思います」