顔を540針縫う大けが「フランケン」のあだ名に苦しんだ少女時代 シンクロ北京五輪代表の石黒由美子さんを支えた母の言葉

京都新聞社 京都新聞社

 犯罪被害者への支援について考える講演会が、京都府木津川市木津の市役所で開かれた。市内在住のアーティスティックスイミング(AS)北京五輪代表の石黒由美子さん(40)が「夢をあきらめない」をテーマに、母親と二人三脚で事故の後遺症を乗り越えるまでの日々を語った。

 市職員や木津防犯協会員ら約120人が参加した。石黒さんは時に笑いを交えながら過去を振り返った。

  小学2年のとき、母親の車に乗っていて正面衝突事故に遭い、顔を540針、口を260針縫う大けがを負った。入院中に見たドラマをきっかけにASに憧れ、五輪を目指すことを決意。視力や難聴の後遺症、記憶喪失に向き合いながら、毎日「夢ノート」に目標を書き続け、五輪に出場を果たした。

 石黒さんは学校で「フランケン」とあだ名を付けられたことや学習障害(LD)でつらい思いをした経験にふれ、「事故の被害に遭って夢や希望を根こそぎ持っていかれてしまっても、『あなたならできる』と母のように信じてくれる人の存在が何よりの支えになる」と思いを語った。

 京都府警木津署と相楽犯罪被害者支援連絡協議会は犯罪被害者週間(25日~12月1日)に合わせ、11月28日午後1時半と3時から、イオンモール高の原店(相楽台)で石黒さんの講演会を開いた。

 ほかにも、木津川市では不要になった本を回収して犯罪被害者支援の資金に充てる「ホンデリングプロジェクト」が始まっている。2011年以降の出版物が対象。市役所や加茂人権センターなど6カ所に回収場所を12月20日まで設ける。

 木津川市社会福祉課は「昨年は約150冊が集まったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、年々冊数が減っている。今年は増えてほしい」と話している。問い合わせは同課0774(75)1211へ。

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