神奈川県相模原市の民家で猫が増えすぎて、飼い主が適切に飼育できなくなる「多頭飼育崩壊」が起きたことが分かりました。
これまで発覚している数は、猫74匹。今回相模原市の保健所に飼い主から相談が寄せられ、地元の麻布大学をはじめ相模原市獣医師会、地元のボランティアに対し保護や医療面、一時預かりなどを協力要請。飼い主は猫の所有権を放棄する方針で話し合いを進めながら、保健所職員やボランティアらが崩壊現場に入り、猫たちのレスキューを行ったといいます。
今回の保護に関わった動物愛護団体「たんぽぽの里」(同県相模原市)代表の石丸雅代さんは「私は、肺炎で倒れていたので、現地入りはできず保護された猫たちの受け入れ側で対応をしました。その間一緒に活動をしている『猫の会・津久井』の代表山本さんが現地で飼い主の説得担当となり、私たちたんぽぽの里で子猫、妊婦猫を先に引き出して受け入れを提示。飼い主から妊婦猫の出産を条件に全頭の不妊手術を行うことに対して同意を得ることができました」と話します。
保護された妊婦猫も無事出産 獣医学を学ぶ大学生も不妊手術を手伝う
レスキューに先立ち、崩壊現場から保護した母猫さやかちゃんは11月5日にたんぽぽの里で出産。その翌日から数回に分けてレスキューが始まりました。室内はふんや尿の臭いが立ち込め、汚れたケージやトイレなどが置かれていたとのこと。猫たちは壁側や部屋の隅などに固まっていたそうです。ボランティアらは連れ帰った猫たちをシャンプーやノミ取りなどを行ったり、また今回地元の大学で獣医学を学ぶ学生らも不妊手術を手伝ったりしたといいます。
「学生さんもたくさん駆けつけてくれました。大学でオペ対応の学生。預かりをしてくださる学生や教員の方々など、後方支援もしてくださいました。さまざまな所で、できることを見つけて動物たちのために動ける…素敵な仲間に出会えて感謝しています。また行政も猫の搬送や今後の調整、そして行政と獣医師会でレスキュー後の方向性をまとめて私たちボランティアとともに協議することになっています」(石丸さん)
今回起きた多頭飼育崩壊は、飼い主本人からの相談で発覚。70匹余りに増えてしまった背景について「不妊手術をせずに、次から次へと子猫が生まれてしまったことが原因。飼い主さんによると、一度手術をした猫が亡くなり、それで怖くてできなくなったとのこと。とはいえ、飼い主さんには手術の安全性をお伝えして納得していただくことができました」と石丸さん。さらに崩壊現場が発覚後、レスキューもスムーズに行われたことは「津久井、藤野、相模湖、城山町が合併して大きな市となった相模原市。多頭飼育崩壊はどの市町村でも起きていますが、相模原で現場の把握ができるのは、市とボランティアが連携しており、市民の方々が相談しやすい環境だからだと思います」と話してくれました。
また同市は、獣医師会に獣医療の協力を得ながら、10月に「猫の一時保護施設の運用」と「猫の一時預かりサポーター制度」を開始。今回保護された猫たちもこちらに一時的に収容されているそうです。12月9日には行政、獣医師会とボランティアらが連携し、保護した猫たちの緊急譲渡会も予定されています。
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