山梨県内で片足のない猫や骨折した猫などが相次いで見つかったことが分かりました。
猫たちを保護したNPO法人「ねこともやまなし」の代表益田陽子さんによると、傷の状態から人為的なもので、イノシシやシカの脚を挟んで捕獲する狩猟用のわな「トラバサミ」によるけがの可能性が高いとのこと。トラバサミは人や動物も足を挟まれてけがをする恐れがあり、鳥獣保護管理法で使用は原則禁止されています。何者かが仕掛けて猫にけがをさせた可能性があり、警察が鳥獣保護管理法違反や動物愛護法違反の疑いもあるとみて調べているといいます。
負傷した猫たちが見つかったのは、山梨県の中央部に位置する、昭和町と中央市。このエリアではここ1年半くらい前から、わなによってけがをしたとみられる猫が7匹ほど見つかっているそうです。今回見つかった猫は、左後ろ足がちぎれ3本足で歩いていました。10月10日、役場から相談を受けた益田さんたちが住宅街で3本足の猫を保護したとのこと。さらに、5日後には町中の施設の倉庫にいた足が真っ二つに骨折した猫も保護。倉庫内で出産して子育てをしていたらしいものの、生まれた子猫たちは死んでいたといいます。相次いで、足にひどいけがを負った猫たちを保護した益田さんはこう訴えます。
「片足が欠損していた茶白猫の玉くん(推定生後10カ月)は病院で治療を受けていましたが退院し、傷口もきれいになりました。ただ今も人間に対しおびえている状況です…無理もないと思いますが、時間をかけて愛情を注いであげていきたいです。
猫避け、虐待目的でわなを仕掛けた?
そして足が真っ二つの骨折状態の猫はひどい痛みに耐えていたのが分かります。負傷する前に出産していたことが判明し、ボランティアさんが必死の捜索をしてくださったのですが、残念ながら子猫たちは亡骸で発見されました。この痛みで子育てを断念してしまったのかは不明ですが、本当に痛ましく異常なことだらけ…母猫と子猫たち、一方的に身体の一部を奪われた猫さんたちの壮絶な状況に、胸が張り裂けそうになります。もうこれ以上不幸な命を増やさない。犠牲になってしまった猫さんたちを見守る方がひとりでも多く増えてくださる地域づくりを、アナウンスしていきたいと思います」
また、いずれも負傷の原因となったトラバサミは見つかっておらず、仕掛けた後に撤去した可能性があるとみられます。益田さんによると、山梨県内の別のエリアでは、過去に猫避けを目的に自宅の敷地内に入ってくる猫を捕獲しようと仕掛けた人物が逮捕された事件があったとのこと。「今回も作物被害やふん尿被害を受けた人物が猫避けのために、あるいは虐待目的に仕掛けたのではないかと思います」と益田さん。さらに「猫避けに関しては被害があったとしても猫の体に危害を与えるようなやり方はやめてもらいたい。モスキート音や光、センサーを使うなど他にも方法があるはずです。とにかく口のきけない小さな命を無差別で痛めつける行為が許せない。早く犯人が見つかってほしいです」と話します。
このほか、南アルプス市内でも負傷した猫が見つかっているそうです。
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「ねこともやまなし」では、15日から不幸な猫のいない未来を目指し、「READY FOR(レディフォー)」でクラウドファンディングにチャレンジ予定。生き場を失った猫や虐待、治療しなければならない猫を保護しており、集まった支援金は保護頭数150匹ほどの治療費、管理費など半年分に充てられるとのこと。またボランティアグループ「ねこざんまい」の譲渡会(東京)にも参加しているそうです。