ある女性がSNSに投稿した、「うさぎのぬいぐるみ」の写真がSNS上で大きな話題になっています。38年前、交際中の彼にプレゼントしたもの。ぬいぐるみはその後、一組のカップルの歴史をともに歩んでいました。投稿した女性に話を聞きました。
ぬいぐるみは「彼女の分身」
1985年3月、関西在住だった女性は、彼が大学進学のため上京するのを機に、ぬいぐるみを購入しました。「ついて行けない私は、うさぎのぬいぐるみを買って、代わりに連れて行ってもらいました」
彼はぬいぐるみに「ピーちゃん」と名付け、「彼女の分身」として大切にしました。毎日、部屋に帰ると「ただいまー」「今日はこんなことがあって」と話しかけていたそうです。
帰省するときも一緒。久しぶりのデートにも連れてきました。「外食した時に椅子に座らせていると、店員さんや隣の席の人が『かわいらしいですね』と言ってくれました。まわりに赤ちゃんがいたら、ピーちゃんであやしてあげたこともあります」
ピーちゃんのお陰もあってか順調に愛を育み、6年後、二人はついに結婚。女の子にも恵まれました。ピーちゃんはお嬢さんと「姉妹のように」過ごし、夫婦にとってピーちゃんは「子どものような存在」になっていたといいます。
月日が経ち、20代になったお嬢さんは、ピーちゃんは老舗人形メーカーが販売したものだと突き止めました。その後、復刻版が再販されていることも知りました。
「娘が『ピーちゃんは吉徳というところのぬいぐるみだ!』ということを発見しました。昔、『キャンディ』という名前で販売されていて、再販されていたのです。娘は喜んで、キャンディちゃんをお迎えしました」
女性はメーカーの人たちにピーちゃんが元気にしていることを伝えたく、お嬢さんに教わりながら、Xのアカウント(@usa_wanwanwanko)に初めて投稿しました。
「吉徳さん、ありがとう! ピーちゃんは38歳になりました」(投稿から引用)
メーカー「なんて素敵すぎるお話…感動の嵐です」
女性の投稿はみるみる拡散し、ぬいぐるみを手がけた老舗人形メーカー「吉徳」(本社、東京都台東区)にも届きました。
同社公式アカウントは「なんて素敵すぎるお話…!!まるで絵本のよう ぬいぐるみ部門一同、感動の嵐です」と反応し、投稿者さん家族に向け「どうかこれからもご家族一緒に、ピーちゃんとキャンディを可愛がってあげてくださいね」とメッセージを送りました。
女性は今回、投稿した理由について、「私の一番の目的は、吉徳さんにお知らせしてお礼を伝えたいということでした」と説明。「吉徳さんが反応してくださり、本当にうれしく、娘と2人でホッとしました」と心境を語りました。
女性の元には、SNSユーザーらのぬいぐるみとの思い出話も集まっており、「思いがけず、たくさんの方のぬいぐるみストーリーも知ることができ、とてもうれしく思います。私の投稿がきっかけで『うちの子も吉徳かも』『吉徳だった!』とわかった方もいて、本当によかったとつくづく思っています」。
◇
吉徳のぬいぐるみ「レトロぬいぐるみこれくしょん キャンディ」は現在、完売しており、次回入荷は11月の予定です。