牛「まっず!ちげーよコレ」おいしくない草だったときの視線が痛い「ご飯については一斉に抗議」

太田 浩子 太田 浩子

「おいしくない草をいれたときのみんなの視線がいたい」

 北海道で酪農を営む「よしだ(@yoshidach2022)」さんが、X(ツイッター)に投稿した写真が話題です。そこには5頭の牛が重ならないように互い違いになりながら、よしださんに視線を送っている様子が捉えられていて、明らかに何かを訴えています…。

「「「これ食べるの……?」」」
「まっず!まずい?チェンジ🐮」
「ちがう!!これじゃない!!」
「これしかないのかな?🐮」
「もー」
「「「「「はよ、メシ(まさか、コレちゃうやろな)」」」」」

 リプ欄にはこんなアテレコが集まり、これじゃない感を出す牛さんたちに爆笑するコメントが寄せられました。よしださんも無言の圧力に「そこまで?!」と思わず写真を撮ったそう。夜は美味しい草をちゃんとあげた、よしださんにお話を聞きました。

──写真の牛さんたちの種類は、ホルスタインですか?

 そうです。みんな乳牛でホルスタインのメスです。

──目で何かを伝えてくることはよくあるのですか?

 むしろ目が合うということは、なにか伝えたいことがあるのかなと思うので様子を確認しにいきます。何も問題なく過ごしている場合はご飯を食べてゆったり反芻して過ごしているはずなので、まず目が合うことはありません。ご飯に関しては、みんなで一斉に抗議されるのでわかりやすいですね。

──抗議するほど美味しくない草があるんですね。

 美味しくない草はあります! たとえば、収穫途中で雨にあてたらもうその牧草はほぼ食べてくれません。雑草もあの大きな鼻で上手によけて残します。基本的には柔らかくて若い草が好みで、なかなかグルメです。逆においしい草もあるのですが、ラップされていると開けてみるまで中は見えないので、美味しくない草をあげてしまったときは申し訳なく思います。

──美味しくないと牛さんたちに訴えられた草は、去年の2番目に伸びた草が、今年の1番目の草に混ざってしまったからと書かれていました。

 そうですね。その年の最初に刈った草を1番草、刈った草が伸びてきて2番目に刈った草を2番草と言いますが、うちでは2番草は基本食べさせていないので、食べ慣れないものが混じっていやだったのかなと思いました。2番草が一般的においしくないということではないのですが、食べ慣れたものが好きということはあるかもしれません。草の種類はチモシーやオーチャードなどです。

──1番目か2番目かわかるってすごいですね。干し草がラップされたものは、よしださんが作られるのですか?

 わたしだけではなく、牧場従業員全員で作っています。刈って、広げて乾かして、寄せて、丸めて、ラップして、運ぶ。このように工程があって数日間かけて、よく見る白い丸いラップができあがります。

──ご実家が酪農をされていたということですが、よしださんはいつから携わられるように?

 大学卒業後、そのまま実家に帰って手伝い始めました。大学最後の年の夏休みに実家に帰省した際、久しぶりに母を見て、このままだとお母さんが過労死するんじゃないかと思ったことがきっかけでした。中国に留学中で、将来は海外で活躍したいと考えていたのですが、その時に親孝行ができるのは今しかないんじゃないかと考えました。当時、父は病気をしたりと牛の世話自体、ほぼ母1人で担っていたので本当に大変だったのではないかと思います。

──たしかにおひとりは大変そう…。今はよしださんも酪農に魅力を感じられているようですね。

 努力がそのまま牛に現れるところが魅力だと思います。やりがいを感じますね。あとはもちろん動物がかわいいことと、自然の中で過ごせるのも素晴らしいです。

──肉牛にも挑戦されるのですか?

 理由はいろいろあるのですが、コロナが始まって以降牛の値段がすごく下がっていて、せっかくだから赤字で売るよりも自分で育ててみたいなと思い、はじめてみました。実家の牧場では両親がやってきたことを自分なりに改良する感じで進めてきましたが、いちからどうしていくかを自分が決めてやっていくのはなかなかいい経験をしていると感じています。

──乳牛と肉牛は、育てかたなどが全然違うのでしょうか。

 わたしもまだ肉牛のことはぜんぜんわかっていないのですが、まったく違う生き物でまったく違う育て方をするものだなと思います。

──写真を見ると、放牧されている子と牛舎にいる子がいるようですが、どんな違いがあるのですか?

 卒乳までの子牛はみんな自由にさせていて、そのほかに、うちは放牧ではなくパドックという運動場を作っていて、そこで自由にさせているのは乾乳牛です。乾乳牛はこれから生まれてくる子どものために栄養を蓄えられるように搾乳を一旦お休みしている牛たちです。残りの牛たちは牛舎で一頭ずつ繋いで飼っています。

 みんなを外で管理するには人数の関係だったり牛舎の構造上むずかしいので、外で運動したほうがいい優先順位が高く、かつ目が届く頭数を外に出したりしています。

■よしちゃんねる(YouTube) https://www.youtube.com/@yoshida2022

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