北海道北部を中心に営業するバス会社「沿岸バス」(本社、北海道苫前郡羽幌町)がSNS上で発信した「お願い」が注目を集めています。高速バスをネット予約する際、ハンドルネームやペンネームなど、本名とは違う偽名を使用するのはやめてほしいという内容。同社の呼びかけを知った人たちからは「そんな人いるのか」「常識ない」などと驚きの声が上がっています。バス会社の担当者に話を聞きました。
バス会社「架空予約も…損失になります」
──なぜ呼びかけを。
「当社では昭和59年から、札幌と北海道北部(留萌宗谷エリア)を結ぶ『特急はぼろ号』という高速バスを運行しています。長らく電話予約のみの対応でしたが、今年7月にインターネット予約を開始し、窓口予約ではできないクレジットカード決済やキャッシュレス決済にも対応しました。現時点では大きなトラブルは起きていませんが、他社さんの事例では、相席を嫌がって偽名で予約をして直前にキャンセルをする架空予約の事例があったと聞き、繁忙期を前に注意喚起を行いました」
──架空予約の問題にもつながっていた。
「他社さんも予約だけして精算もせずに無連絡不乗車する『ノーショウ』の対応には苦慮されているようです。いわゆる架空予約が頻発すると、本来乗車したいお客様が乗車できず、私どもバス事業者も損失となります。過去には、他事業者の路線で一人で何十席も座席を確保し、出発間際にキャンセルして業務を妨害し、逮捕された事例があったと伺っています」
──他にも困ることは。
「沿岸バスの沿線は、夏は美しい海岸線や離島を望む景勝地ですが、冬期は一転して日本海の荒波や暴風雪が荒れ狂う難所になります。また、主たる経路である国道232号は、ひとたび通行止になると迂回経路がなく、運休せざるを得ません。この際、お客様に運休のご案内をすることになりますが、事実と異なる内容でご予約いただくと適切に案内ができなくなるおそれがあります。これは重大事故が発生した際も同様です」
──予約は正しい氏名で。
「ご利用されるお客様本人、複数の場合は代表者様のお名前や電話番号など、情報を提供いただくようお願いいたします」
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SNSユーザーらはバスの偽名予約について、「えっ、嘘でしょ。信じられない」「非常識」「そんな人がいるのか」「飲食店の順番待ち名簿じゃないんだから」「何かあったとき本人確認できないのでは」などと反応しています。