心臓に穴があき、廃棄されかけたメインクーン 看取る気持ちで引き取り6年 初めて空の飛行機を見、土に触れ「毎日が新鮮」

渡辺 陽 渡辺 陽

心臓病のある子猫

大ちゃん(6歳6ヶ月・オス)は、メインクーンという猫種。ブリーダーのところで繁殖猫をしていた猫が産んだ子猫だった。心臓内壁に穴があり、心雑音が酷く廃棄されかけていた。2017年3月頃に東京都の保護団体に保護されたという。

保護された後も、生まれつき心臓が悪い大ちゃんは、施設でもケージから出せず、ケージの中だけで暮らしていた。4月、そんな大ちゃんに出会った大ちゃんパパ。
「初めてみた時は天使のように可愛い子だと思いました。でも、このままだとケージから出られないまま短い生を終えてしまうかもしれない。ケージから出て、家猫らしく過ごしてほしいと思い、看取るつもりで引き取りました」

毎日が新鮮!

大ちゃんパパは大ちゃんが生後5ヶ月の時、5月15日に迎えた。大ちゃんはキャリーを開けるとすぐに飛び出てきて、部屋中を探検した。心停止の恐れがあるので走ってはいけないのだが、大ちゃんは全速力で走り回った。
「楽しそうでした。部屋の中には骨董がたくさんあったのですが、ちゃんとそれを避けて、いたずらもしないで探検していました」

その後も生まれて初めて空や飛行機、蜂や蝶々、アリを見て、土の上を歩いた大ちゃん。スミレの上で寝たり、花の香りを嗅いだりしていた。
「毎日が新鮮で、とても楽しそうでした。大ちゃんは心臓病のため大人になるまで生きられないと言われていたので、なんとか生き延びて欲しいと施設のスタッフさんがグランデという名前をつけていたのですが、長くて言いにくいので、私は同じ意味の『大ちゃん』という名前をつけました。大ちゃんが1歳になった時、それを聞いた施設のスタッフさんは涙を流していたそうです」

コーヒーの香りが好き

大ちゃんは挽いたコーヒーの香りが好き。大ちゃんパパがコーヒー豆の入っている引き出しを引くとすぐに来て、挽いたコーヒー豆の香りを嗅いで、手で身体につける。隣の紅茶が入っている引き出しを開けても見向きもしないという。

大ちゃんパパと大ちゃんはいつも一緒にいる。大ちゃんは大ちゃんパパの行動を観察し、記憶している。そのため、大ちゃんパパがこれから何をするのか予測がつき、大ちゃんに薬を飲ませたり、爪を切ったり、嫌なことをしようとすると、すぐに察して逃げてしまう。

大ちゃんパパは大ちゃんによく話しかけた。大ちゃんも、人が言葉でコミュニケーションすることを知っている。大ちゃんも猫語の「ウー」のトーンを変えて、あれこれ要求してくる。

病気や障がいがあっても長生きする猫もいる

すっかり大ちゃんのペースに合わせて生活するようになった大ちゃんパパ。
「母が亡くなったら渡欧しようと思っていたのですが、諦めました。再就職すると大ちゃんに留守番させないといけないので、再就職もしませんでした。外食もやめ、趣味の音楽会にも行かなくなり、買い物は大ちゃんが寝ている間に行きました。大ちゃんの健康と引き換えなので、仕方がないです」

大人の猫になれないと言われた大ちゃん。もうはや6歳になった。
「生まれつき大きな問題を抱えていましたが、それでも今も生きています。重い病気や障がいのある猫でも生きられる可能性はあります。そうした子の里親さんにもなってもらえたらと思います。大ちゃんはこれからも生きて、そういう猫たちや里親さんの励みになってほしいと思います」

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