奈良公園の鹿にマダニ「想像の100倍いる!」 触るとうつる?感染症の恐れは? 奈良県と保護団体に聞いた

伊藤 大介 伊藤 大介

奈良公園(奈良市)の鹿に大量のマダニがついているという投稿が話題です。

えねる(@enelusan)さんが奈良公園を訪れたところ、愛らしい鹿たちがすり寄ってきました。しかし毛並みの赤い点々をよく見てみると、マダニががっつり食い付いていました。「冗談抜きで想像の100倍はマダニくっ付けてる」「鹿を触ることは、マダニを触ると同義」と注意喚起したツイートは「怖い」「知らなかった」と衝撃を与えました。
人なつっこい鹿に触っても大丈夫なのでしょうか。また飼い犬や飼い猫のようにダニ対策は行われていないのでしょうか。えねるさんや奈良県、奈良の鹿愛護会に聞きました。

ダニがついた体ですり寄ってくる

エネルさんは「夏鹿のマダニがやばい」という投稿を見て、「奈良の鹿はどうなのか」と気になって確かめたところ、鹿が体中にマダニをくっつけて頭をすり寄せてくるのに驚きました。

「こちらが触らずとも鹿は寄ってきますし、鹿せんべいを持っていたら、頭突きされたり噛み付かれたりもします」

「奈良駅から若草山まで鹿を見て歩きましたが、例外無くマダニはついておりました。若草山に近づけば近づくほど、マダニの数は多くなる印象でした」と振り返ります。

傷ついた鹿を救助や治療に取り組む「奈良の鹿愛護会」に「奈良公園の鹿にダニはいるんですか?」とたずねると、「いますよ。野生動物ですから」とあっさり答えが返ってきました。

「平地の奈良公園の鹿はダニが比較的少ない方で、若草山に近づくほどたくさんダニがついていますね」とえねるさんと同様、山に近づくほどマダニが多いと証言します。

ーー飼い犬や飼い猫のようにダニ駆除薬を投与しないんですか?

「野生動物ですからね。そもそもダニがついていない野生動物の方が珍しいんじゃないでしょうか」

ーー鹿の救助などの際、ダニが移って噛まれることはありませんか。

「そりゃまあ、ありますけど…毎年のようにダニに噛まれるわけじゃありません。こちらも注意しているので」

マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は致死率が30%に達する恐ろしい病気です。奈良公園の鹿と触れ合うことでSFTSに感染するリスクはないのでしょうか。奈良県の奈良公園室は「今年1月からダニ被害の報告は入っていない」と言います。

では、鹿に触っても問題ないのでしょうか。

奈良の鹿愛護会は「むやみに触らないでほしいと注意喚起しています。そもそもペットではないですし、力も強い。適度な距離感を保ってもらえたら」と指摘します。奈良県も「野生動物なので、触れ合う際は十分注意してください。発情期の10月、11月は気も立っています」と呼びかけます。

人慣れしていますが、あくまで野生動物。マダニもついていますし、べたべた触られたら怒るかもしれません。十分ご注意下さい。

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