「わが子のためなら」カラスから身を守り、前足が折れてもご飯を届ける…母猫の姿に感動 「たくましさと優しさは愛そのもの」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「偉大なる母」

お外で子育てをする母猫の動画がInstagramで話題を集めました。

投稿したのは、「Ryosuke Miyoshi」さん(@ryostory1124)。保護猫写真家の三吉良典さんです。三吉さん自身も保護猫活動をされており、お外の世界で子育てをする母猫を見てきた中で今回心に残った4つの動画を投稿したとのこと。

「どんな相手でもわが子を守る母猫」
「前足が折れていてもわが子にご飯を届ける母猫」
「大雨を察して我が子を運び1ミリも濡らさなかった母猫」
「自分は痩せていくも子ども達みんな均等にミルクを与え続けた母猫」

そんな母猫の姿を目にした人たちから「涙が止まりません」「お母さん本当にかっこいいです」「母猫の逞しさと優しさは愛そのもの」などと感激のコメントがたくさん寄せられています。

多くの人たちの心に響いた動画の数々。投稿した理由や撮影時ことなどを、三吉さんに聞いてみました。

保護猫写真家が母猫の子育てにまつわる動画を投稿

――母猫の子育ての様子を投稿しようと思われた理由を教えてください。

「私のインスタやツイッターでは、主に幸せな保護猫ちゃんたちの様子を投稿しています。でも、現実はお外の猫ちゃんたちの暮らす環境はとても厳しく、特に子猫たちが成長するのがどれだけ大変かと言うことも知ってほしく、まずは我が子を守る偉大なる母として投稿させていただきました」

――1つ目の動画。上から撮影されて母猫が子猫たちをかばうように見上げる様子が印象的ですね。

「やけにカラスがギャーギャー鳴いていたので、経験上もしかして子猫が襲われているかもしれないと思い、辺りを探していたら子猫を守っているお母さん猫がいたんです。お母さん猫も本当は1匹ずつ子猫をくわえて安全な場所に運びたかっただろうけれど、1匹しかくわえられないので、その間にカラスにやられたりしないよう、ずっと守っていました。

その数時間後に山の方からたまたま猟銃の音が聞こえ、カラスは逃げていきましたが…お母さん猫はもう周りに敵はいないかと30分くらい警戒したあと1匹を右にある小屋に運びました。子猫たちはたくましくその後をついていき、無事みんなが安全な場所に移動。このお母さん猫はきっと、カラスがいなくなるまで守り続けたんだろうなとすごく感心した動画です」

――2つ目の動画は、海外の方からお借りした映像とのこと。前足が折れていてもわが子にご飯を届ける母猫ですが…。

「これを見た時にまず、撮影してないで助けてあげてよ!と思いました。ですが、治療後かもしれないし、はっきりとした状況がわからないので、お母さん猫の強さに視点を変えました。このお母さん猫は前足が曲がっていてとても歩きづらそうなのは分かりますが、ガリガリにやせています。それでも猫ちゃんが大好物な魚を自分は食べずに子どもたちへ運び食べさせるというところが本当に感動しました。

人間のお母さんも自分がやつれるほどお腹が空いているけど子どもたちが生きるためなら子どもにご飯をあげる人がほとんどだと思います。猫ちゃんも人間も我が子を思う気持ちは一緒なんだとあらためて感心させられました」

大雨を察して車の下にわが子を運んだ…自分はやせていくも子どもたちにミルクを与え続けた

――そして、大雨を察してわが子を運び濡らさなかったという母猫という3つ目の動画。撮影時の状況は?

「この動画の前は、穏やかな晴れの中、草木が茂る広場で撮影していたのですが、その途中に大きな雨粒がポツポツと落ちてきました。これは夕立で強い雨が降ると思って建物に避難しようとした時、このお母さん猫は子どもをくわえて車の下に避難したのです。ポツポツと降っただけで、子どもを避難させるなんて素早い判断だなと感心しました。

案の定、1時間ほど大雨が降り、その間は、ずっと車の下で親子で寄り添っていて。子猫の体温は水などで濡れてしまうと低下してしまい下手をすれば死に至ることもあります。そういうのもこのお母さん猫はちゃんとわかってるんですよね」

――最後の4つ目の動画ですが、自分はやせていくも子どもたちみんなにミルクを与え続けた母猫とのこと。

「この親子はお母さん猫がしっかりしていたため、離乳が終わるまで見守っていました。子どもたちは5匹いたのですが、いつもみんなお腹がポコンとなっており、しっかりミルクを飲んでいるのです。お外の猫ちゃんは環境が厳しいので、お母さん猫が上手く狩りを出来なかったり…定期的に餌やりさんがご飯をあげなければ、栄養あるお乳が出にくくなります。そのため、強い子から優先にお乳をあげたりするので、たくさん子どもがいる場合は、1匹や2匹ほど身体が弱い子が出てくるのです。

そんな場面をいくつも見てきましたが…このお母さん猫は、自分は日々やせていっても子どもたちみんなスクスクと成長させました。離乳の時も、どこからかご飯をもらっては、自分は決して食べずに子どもたちのいる場所まで運び、みんなが食べられるようにしていました。素晴らしいお母さんです」

お外の母猫たちは”子孫”を残すために、強い子を優先に子育てすることがあるが…

――母猫たちの子育てを映した動画を通じて、思ったことは。

「動画を見てくださった方には、このお母さん猫たちの『わが子のためなら』という思いがすごく伝わったのではないでしょうか。本来、お外の猫ちゃんたちは、『子どもを産むということ=自分の遺伝子を残すため』であり、弱っている子どもがいたら見捨て、強い子を優先に子育てすることがよくあります。人間の場合は、病気がちな子ほど、親は気を配り助けようとしますが、お外の猫ちゃんはそんなことはしません。このように自然界にはとても厳しい現実がある中で、この動画に出てくるお母さん猫は立派に子育てをしていたのだなと思いました」

――4つの動画の母猫たちはどうなった?

「2つ目の動画は、(@morali.arif)さんのリポストで海外の動画でもあり詳細はわかりませんが、日本ならこのような場面に出くわせば、ほとんどの人が助けますよね。このお母さん猫を保護し、治療してくださってると信じることしかできませんが、きっとこれを見た人が助けてくれたかと思います。その他の子猫たちは地域の方と協力し合い、みんな里親さんが見つかりました。お母さん猫は地域猫として地元の方に見守られています。

最後に、今回この記事や動画を見てくださった方たちへのお願いです。私もまだまだ保護活動の経験が浅いので間違ったことを言っていたらご指摘ください。また、こんなこともあるよとアドバイスもいただければ幸いです。猫ちゃんのことをみんなで知り、学び合い、共有できたらもっと幸せな猫ちゃんが増えると思っています」

Ryostory さんTwitterアカウント(@ryostory1124cat)

Ryosuke MiyoshiさんのInstagramアカウント(@ryostory1124)

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