三つの苦手を克服して幸せつかんだ元野犬 天真爛漫な性格に新しい飼い主さんが一目ぼれ お出かけが好きな一家とドッグランへ

松田 義人 松田 義人

犬の「殺処分ゼロ」を目指し、犬の保護および譲渡活動を行う団体、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。同団体では、元野犬、元飼い犬を問わず常時多くのワンコを引き出し、全国にある施設でケア、トレーニング、譲渡活動を行なっています。

豊富な保護経験から、ピースワンコのスタッフは「元野犬の保護犬は、保護当初は人に警戒心を抱くあまり、威嚇して吠えたり噛みついてくることが多い」と言います。

しかし、ある日、愛護センターから引き出した推定2歳のワンコ、ソウデルに限っては、これまで見てきた多くの元野犬とは全く違ったと振り返ります。

元野犬とは思えないほどの「人好き」ワンコ

引き出した当初から「人間大好き」で、ケージの向こうから「遊ぼうよ」と言わんばかりの表情で、スタッフの様子を目で追いかけていました。スタッフは「元々飼われていたんじゃないかな?」と思うほどでしたが、しかし、やはりどうしても元飼い犬とは思えない様子もありました。

保護当時のソウデルは、草むらや茂みなどで暮らしていたと思われ、皮膚の状態が悪く、体のあちこちに脱毛が見られました。これは元野犬に多く、元飼い犬にはありません。

ともあれ、スタッフはピースワンコの検疫犬舎で、ソウデルに適切なケアを日々行い続け、健康を取り戻してくれるように接し続けました。

笑顔のソウデルが見せた「苦手なもの」3つ

スタッフの献身的なケアによって、皮膚などの健康状態が改善したソウデルは、幸せな第2の犬生をおくるため、新しい家族との出会いを期待し、ピースワンコの施設の一つ、広島譲渡センターへやってきました。

広島譲渡センターでも、ソウデルはすぐにスタッフと打ち解けることができました。「やっぱり良いコだわ」「こんなに人懐っこい性格ならすぐに里親さんが見つかるはず」とおおいに期待するスタッフでしたが、しかし、この地でソウデルの「苦手なもの」が3つ判明しました。

それは「男性」「車」「他のワンコ」。検疫犬舎では分からなかったのですが、より人間社会に近い広島譲渡センターでは、この3つを前にすると大興奮。激しく暴れ、ときに甘噛みして抵抗することもありました。

この行動は、犬にとっては自分を守るためのひとつの手段ですが、人と一緒に暮らしていくためには修正していかなければいけません。

スタッフは、ソウデルの行動に向き合い、ここでもまた適したケアをし、様々な経験をさせながら新しい家族との出逢いを待つことにしました。

ソウデルの元に里親希望者さんが現れた!

ソウデルの持ち前の明るい性格もあり、完全とは言わないまでも「男性」「車」「他のワンコ」にも少しずつ馴れていったある日のこと。一組の里親希望の家族が、公式サイトで見たソウデルが気になり、会いに来てくれました。

この家族は先代のワンコが空へ旅立ち、心の穴がぽっかりと開いていたところでソウデルを見つけ、その明るい性格や天真爛漫な笑顔に惹かれたそうです。

スタッフから、前述のようなソウデル特有の「苦手なもの」を聞き今後の課題などをしっかり理解したうえで、この家族のお家にソウデルは迎え入れてもらうことになりました。

優しい家族のもとで「苦手なもの」も少しずつ克服

優しい家族に迎え入れられ、第2の犬生をおくることになったソウデル。ピースワンコを卒業して1年半が経った頃、里親さんからメッセージが届きました。

今でも苦手なことはあるようですが、苦手だった「他のワンコ」と一緒にドッグランで過ごすことができるようになりました。また、ドッグラン以外でも、色々な場所へ連れて行ってもらっているとも。散歩が大好きなソウデルにとっては、これ以上の幸せはない環境で過ごせていることを、スタッフは嬉しく思いました。

同時に、ソウデルのように、大好きと思える家族と一緒に、お腹いっぱいのご飯、安心して眠ることができる場所で過ごせるワンコが、1頭でも多くなることを願い、活動への想いをより強くするのでした。

ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp/

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