京都府南丹市園部町南八田に、洋食店「Chez(シェ) あさひな」がオープンした。切り盛りする男性は、新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年、フランス料理を出すホテルを退職。同年から南八田の旧西本梅小学校の一室を間借りして営業し、オムライスなどが人気を博した。コロナ禍を乗り越え、ついに自分の店を構えた男性は「周りの人のおかげ」と感謝する。
男性は湯浅歩さん(35)。同市日吉町出身で、京都市中京区の高級ホテル内の料理店で腕を振るったが、コロナの影響で料理店の休業が長期化。20年夏から南丹市の福祉施設で働き始めた。
旧西本梅小には冷凍庫や調理機器がそろっており、「好きな料理をしたい」という湯浅さんの思いと、「飲食を通じて住民のつながりを深めたい」という西本梅地域振興会の意向が合致。同年秋から、妻の綾香さん(35)と、綾香さんの母奥村千秋さん(61)と力を合わせて営業してきた。
地元産の卵を使ったオムライスや、赤ワインでコクを出したボロネーゼパスタなど、フレンチ仕込みの技を生かした料理が評判を呼んだ。湯浅さんは「お客さんが少ない日もあったが、次第に常連もでき、続けてきた意味があった」と振り返る。綾香さんは「『ありがとう』『おいしかった』とわざわざ言ってくれる人が多く、人とのつながりを感じられた」と喜ぶ。
営業最終日の3月末には住民が花束を贈呈。湯浅さんは「1人では何もできなかった。ここでのご縁のおかげ」と頭を下げた。
新たな料理人人生を築いていく店は旧西本梅小から目と鼻の先で、9日に開店した。空き家となっていた綾香さんの実家で、愛する双子の名を冠した店名を引き続き使う。綾香さんは「温かく、懐かしい雰囲気の店にしたい」と意気込む。
メニューは大きくは変えず、新作を随時投入する。湯浅さんは「不安はあるが、気軽に来て、ゆっくりしゃべって過ごしてもらえる店にしたい」と話す。
営業は原則金曜と日曜の午前11時~午後2時半。インスタグラムで営業情報を発信している。