抱かれて「やめてニャ~」 なつかれて「おお痛い…」 江戸にゃんこ浮世絵展 今と変わらぬ猫と人の戯れ、浮世絵に 4月開幕一部作品をチラ見せ

小森 有喜 小森 有喜

ネコを描いた浮世絵が並ぶ企画展「江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし」が4月1日から、東京都渋谷区の太田記念美術館で始まります。開催を前に同美術館公式ツイッターが、女性に遊ばれて迷惑がるネコを描いたほほえましい浮世絵を投稿。すると「身に覚えがある」「ねこ飼いさん踊らせがちw」「今も昔も変わらない!」といった反響が寄せられました。同企画展の展示数は前後期合わせて約180点。一足先に作品の一部を見てみましょう。

前述の浮世絵は、江戸後期に歌川国芳が描いた「猫と遊ぶ娘」(企画展では後期に展示)。国芳は浮世絵界きっての愛猫家絵師として知られています。ネコの前足を持って踊らせている娘と「やめてくれ~」と言わんばかりに迷惑そうなネコ。表情が対比的でほほえましい作品です。

国芳は、他にもさまざまなネコ作品を手掛けました。ネコの体で文字を表現する「当て字シリーズ」も人気が高く、今回は前期展示で5点が並びます。「かつを」という作品では大好物のカツオをかじったり、じゃれ合ったりする姿でひらがな3文字を表現。一番下でカツオにぶら下がっているトラ柄のネコが可愛いですね。

後期展示の目玉の一つが、国芳の戯画「其まゝ地口 猫飼好五十三疋(ひき)」。「地口」とはダジャレの一種で、「五十三疋」はあの「東海道五十三次」になぞらえたもの。東海道五十三次に登場する宿場をネコにまつわるダジャレに置き換えた、ユニークな大判三枚の作品です。例えば日本橋は「二本だし(かつお節が2本)」、草津は「こたつ」、興津(おきつ)は「(眠りから)起きず」…。一つずつがイラストで描かれており、間近でじっくり眺めて楽しみたい作品です。

幕末から明治にかけてさかんに作られた子供向けの浮世絵は「おもちゃ絵」。歌川芳藤「新板猫の温泉」(前期展示)では、擬人化されたネコたちが温泉で時間を過ごしています。まったりお湯につかるネコ、他のネコの背中を流すネコ。また、「大なまづ ねこのたハむれ」(作者不詳、後期展示)もおもちゃ絵の一つ。天に昇るように描かれる大きなナマズと、それに掴みかかろうとするたくさんのネコが描かれます。「この大鯰を食べてしまいたい」というせりふも書き込まれています。

 企画展「江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし」は4月1日から。同美術館担当者は「かわいらしくてユーモラス、時に神秘的な浮世絵のネコの魅力を存分にお楽しみください」としています。

※作品画像はいずれも太田記念美術館提供

企画展「江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし」

【会期】4月1日(土)~5月28日(日)※前期は4月25日(火)まで、後期は同29日から。前後期で全点展示を入れ替えます

【開館時間】午前10時半~午後5時半(入館5時まで)

【休館日】月曜日、4月26~28日(展示替えのため)

【会場・主催】太田記念美術館 東京都渋谷区神宮前1-10-10【アクセス】JR山手線「原宿」駅(表参道口)より徒歩5分、東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前」駅(5番出口)より徒歩3分

【入館料】一般1200円、大学・高校生800円、中学生以下無料

【公式Twitter】@ukiyoeota

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