出会いは劇場 映画泥棒に心を奪われた 10年で30体を制作した女性が語る異形頭の魅力 必ず聞かれる質問も

山脇 未菜美 山脇 未菜美

「異形頭(いぎょうとう)」という言葉を知っていますか? 映画の上映前に登場する「映画泥棒」をはじめ、頭が物体になったキャラクターなどを言う。そんな魅力に取りつかれ、約10年間、異形頭を作って、自分でかぶって楽しむ女性がいる。シャンデリア、バラ、メリーゴーランド…。ゴージャスな衣装と合わせた姿は妖艶で、きらびやか。重さは2キロになることもあるといい、道行く人に聞かれるのは「前は見えるの?」。中の女性に話を聞いた。

会社員で、ツイッター名は、しば(@kabenianaippai)さん。異形頭を知ったのは小学生。映画館でくねくね動く映画泥棒を見てかっこいいと思ったという。「調べると、異形頭は20年くらい前にはあったみたいです。人以外の顔と組み合わせることが多くで、家電や機械のようなものが多いですね」

普通の一般人だけど、設計に半年も

大学生になって一人暮らしを始め、自分の部屋ができたことで異形頭を作るようになった。ベースは「ソフトボード」と呼ばれる素材を使って頭型を作成。その後、装飾を付けていく。シャンデリアの場合、別のボードを一つずつカッターやデザインナイフで切り出し、色を塗って貼り付ける。金属アームはプラスチックパイプを加熱変形、下処理、塗装を施し、ろうそくは既製品を改造。クリスタルを散りばめるなど、細部までこだわっている。「作り始めると早いですが、設計が大変ですね。長い時は半年くらい掛かります。普通の一般人ですが」と笑う。

お気に入りというメリーゴーランドは、白馬があしらい、LEDを差し込んで光るように工夫。ダイヤモンドは、見る角度によって色が変化する「マジックミラーシート」を使った。ドレスや衣装は全て市販のものを購入。色合いを合わせる徹底ぶりだ。社会人になってからも異形頭への思い入れは強く、新しいものを作っては写真撮影し、ツイッターに投稿している。これまで30体ほどを手作りしている。

前は頑張って見て、息も頑張ってする

新型コロナウイルスが流行する前までは、コスプレイベントで異形頭の姿で街を歩くこともあった。道行く人から言われるのは「すごい!見えているの?どこで息はしているの?」。驚いてもらえるのがうれしいという。

ちなみに、目や鼻の近くには小さな穴があり、分からないように装飾している。「穴は小さくても、目に近付けると見えるんです。長時間かぶっていると空気はうすくなります。でも、頑張って見るし、息は頑張ってするっていう感じですね」

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