強盗の侵入を諦めさせるには ルフィ事件の影響で防犯対策に注目 ALSOK「侵入犯が『嫌だ』と思うことの積み重ねを」

山陰中央新報社 山陰中央新報社

 犯罪グループによる凶悪な強盗事件の発生を受け、山陰両県の警備会社ではホームセキュリティ(自宅警備)の問い合わせが急増している。警備会社の担当者に有効な防犯対策や心構えについて聞いた。

 凶悪な強盗事件は「ルフィ」や「キム」といった名称の指示役が首謀するグループによって引き起こされた。犯行の地域は関東地方だけでなく、関西など広域に及び、島根県に隣接する山口県や広島県での強盗事件にも関与の疑いがある。空き巣とは異なり、あえて被害者の在宅時を狙って押し入り、強盗殺人にも及ぶという凶悪性が社会を震撼させた。

 問い合わせが5倍増に

 警備サービス会社のセコム山陰(松江市北陵町)によると、事件が報道され始めた1月、ホームセキュリティの問い合わせ数が前月の約5倍に急増した。防犯目的の内容がほとんどで、1人暮らしの人や山陰両県内に高齢の両親を持つ県外在住者からの問い合わせが多い。

 同社ではこれまで、高齢者の見守りや防災面での相談が多かったといい、業務部の奥井誠二部長(48)は「事件が広域的に起きていることで不安があおられ、住民の意識が変わってきている」と実感を話した。

 ALSOK山陰(市朝日町)でも在宅時の強盗対策についての問い合わせが増加傾向で、本社のある関東方面では3~4倍増となった。事件の報道を受け、本社のホームページ上で簡易な対策を列挙するなど、防犯意識の高まりに対応している。

 営業部の谷口靖宏部長(38)は「今回は在宅時の犯行というのが一つの特徴。不審者をまず侵入させないための対策が重要になる」と強調した。

 いま一度施錠の意識を

 実際に家庭ではどんな対策ができるのだろうか。

 セコム山陰の奥井部長は「昼間、在宅時でも施錠することを改めて意識してもらいたい」と注意を呼びかけた。山陰両県は都会地と比べ、強盗事件が少ないため、施錠の意識が緩い。外出時はもちろん、自宅にいてもきちんと施錠することを心掛けたい。

 セコム山陰が取り扱う防犯設備では、窓ガラスに貼る形式のフィルムがあり、ガラスを補強でき、侵入を防げる。録画機能付きのインターホンや人が近づく点灯するセンサーライトなど玄関付近の設備は不審者へのけん制になるという。

 さらに、窓の開閉や衝撃、人の体温を感知すると反応するセンサーの設置もでき、緊急対処員が速やかに駆け付ける。センサーの有効範囲といった細かな設定はスマートフォンのアプリから操作が可能で、外出、在宅を問わず安心できる。

 ALSOK山陰の谷口部長も施錠の重要性に加え、来客の際はチェーンをかけた状態でドアを開けるほか、宅配の際は荷物を直接受け取りではなく玄関に置いてもらうなど万が一に備えた対応を徹底することを勧める。

 防犯カメラや窓上部に装着して二重ロックにする補助錠といった防犯グッズを販売している。自宅にセンサーを設置すれば、扉や窓の開閉や人の動きを感知し、同社のガードマンが駆け付けるほか、玄関などに設置した青いALSOKライトが点滅して周囲に異常を知らせる。

 谷口部長は「犯人が嫌だと思うことの積み重ねが防犯につながる。簡単な補助錠などからでも、導入を検討してもらいたい」と対策を呼びかけた。

  強盗事件では指示役と疑われる人物が逮捕されたが、まだ、どんな強盗グループが潜んでいるか分からない。高齢者世帯の多い山陰両県では、命と財産を守るため、今一度、防犯に対する意識を高めたい。

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