ゲームセンターなどで今も若い世代に人気のある「プリクラ」(プリントシール)。かつては400円だったが、いつの間にか500円に値上がりしている。兵庫県神戸市に住む女子高生によると、値上げは2、3年ごろ前に始まったという。スマホが普及し、いつでもどこでも写真を撮れる時代。それでもプリクラを撮り続ける理由を「別人級に盛れるし、かわいいって言われたい」と話す。
2月下旬、大阪・梅田の商業施設「HEP FIVE」。アラサーの筆者は約10年ぶりに友人3人でプリクラを撮った。その日は土曜日で、各機械には中高生とみられる女の子の行列がずらり。20分ほど並び、驚いたのは料金が500円だったこと。そして撮影写真を画像で見ると、あごがほっそりし、肌はつややかで、目は大きくうるっとした輝きになり、口はピンク色で…。「みんな同じ顔に加工されてる。誰か分からないね」と大笑いだった。
プリクラシェア台数9割を誇る「FuRyu(フリュー)」に値上げの時期と理由を聞くと、「プリ機のプレイ価格は各店舗様において異なることから、混乱を招かないように取材はお受けしていません」とメールが返ってきた。神戸市内のあるプリクラ店で料金を確認した。筆者が撮影した「apimy」をはじめ、誰でも主役級にかわいくなれる「ハルイロセカイ」、韓国アイドルのように盛れる「IDORY Studio」など全7機種が500円だった。
「個性を認めるっていうけど、美人やかわいいの基準はある」
友達と遊ぶたびにプリクラを撮ってきたという神戸市内の女子高生(17)によると、プリクラが500円になったのは2、3年前ほど。400円の時は2人や4人できれいに割れてよかった。「でも、500円になってから割り勘が難しくなったー。特に3人以上が面倒で、ジャン負けした人(ジャンケンで負けた人)が多く払うみたいな」と話す。
プリクラを撮る理由は、ザ・整形みたいな顔になれるから。「最近の人たちって個性を認められるっていうけど、美人・かわいいの基準はあって。やっぱり二重で鼻がすって通っているみたいな。プリクラでなれる系統なんよ」と笑う。基準はK-POPアイドルが満たしているといい、2000年代に流行った「Y2Kファッション」や、中国美女のメイクで撮影するとかわいくなるという。
撮影は、ヘアメイクがきれいにセットされている1日の序盤。目を大きく加工するのは、顔に余白がない方がかわいく見えるから。「めーっちゃ目、でかくしますよ。プリクラっていうジャンルで最大限のかわいさを引き出したい。終わりがないんです」。撮影後は画像をスマホで取得し、インスタグラムのストーリー機能に投稿。友達の反応をもらええたり、「うちらかわいい」って褒め合ったりするのが楽しいという。
ところで、プリクラシールはどうするの?「正直、いらない(笑)家に置いてある缶の箱に延々と溜まっていく」