車窓から眺めるマイナス10度の景色をうつした動画がTwitterに投稿され、注目を集めました。路面の上を渦巻きながら後方に流れていく粉雪、ぽつりぽつりと現れる標識、遠く青くかすむ道の先の風景…吸い込まれるようなふしぎな美しさに多くの人が心を動かされました。
「昼夜も標高もこの世かあの世かもわからんくなった」というひと言とともに動画を投稿したのは「文坂(ふみさか)」(@lol_widow)さん。投稿には、
「そらをとんでいるかのようですね〜」
「なんて幻想的で素敵な」
「三途の川でも渡っとる?」
「夢の中で見る風景にこんなのあるよね」
「なんか異世界の入り口っぽい。」
などと、その現実離れした光景に感動した人たちからの声が上がっています。
動画を撮影した時のことを文坂さんにお聞きしました。
「夕暮れ時で天気は良かったが、強風で地面のパウダー状の雪が舞い上がり、視界を覆った状況でした」
――さしつかえなければ、撮影場所と日時を教えてください。
場所は北海道の中標津(なかしべつ)、開陽台(かいようだい)付近の一般道になります。夕暮れ時で天気は良かったのですが、強風で地面のパウダー状の雪が舞い上がり、視界を覆った状況でした。2月15日、気温はマイナス10度ほどでした。
――車中から撮影していますね。
ホワイトアウトとは違うため自分の位置を見失う事はありませんでした。が、道路の脇が地面なのか雲なのか。夕日らしきものも見えておりましたが、変に薄ぼんやりとして、今が何時なのかもわからない状況でした。撮影は同乗していた者が、私のスマートフォンで助手席から行なったものになります。
――この後、この道は通行禁止になったとリプライでおっしゃっていました。それを知った時のお気持ちは。
冬季の北海道では通行止めの道路も多くあるのは存じておりましたので突然の通行止めにも別段驚きはありませんでしたが、動画の撮影時にもチラホラと対向車がおり、地元の方のバイタリティを感じました。
動画が拡散したことについて「ツイートの反響に関しましては、この映像と『あの世』という言葉のもつ印象がマッチされた方が多くいた事に、少し驚きました。クラシカルな、いかにも天国のようなビジュアルではなく、人工物が織り混ざる現代的な『あの世』のイメージが、多くの方に浸透している結果だったと感じております」と話す文坂さん。
中央を走る白色の破線や道路脇の標識など、日ごろ目にするものが青い黄昏とパウダースノーのつくり出す幻想的な雰囲気につつまれることで、まるで異界のように見えてくる…知らぬうちに鑑賞者も夢か現か分からぬ世界へといざなわれていくような感覚に多くの人が魅了されたのかもしれませんね。
さらに文坂さんは話題になった投稿の後にもう一つ、「ここも孤独すぎて、死生観がうっすらあやふやになる場所だった。前の動画と違って、シカやら植物やらで命の気配はするんすけどな」という文言とともに、見る者に深い印象を残す美しい動画を投稿しています。こちらもぜひご覧くださいね。