車いすで旅する「車椅子トラベラー」のみよっち(@saitoumokichi)さんが、北海道で転倒した際の動画が話題です。雪が降り積もった歩道でつまづき、路上に転びました。同行者に抱えられて車いすに戻ろうとしましたが、足元が滑ってうまくいきません。その時、「大丈夫ですか?」と声をかけてきた通りすがりの人たちが集まり、みよっちさんの腕や背中を抱えて車いすへ戻してくれました。「世界共通のバリアフリーは『人』ですね」「北海道大好きになりました」と感謝の気持ちを投稿したみよっちさんに聞きました。
通りすがりの人たち「大丈夫ですか?」
みよっちさんこと、三代達也(みよ・たつや)さんは18歳の時バイク事故で首の骨を折り、頸髄を損傷、 両手両足に麻痺が残り車いす生活になりました。会社員勤務を経て、 多くの人に海外の魅力を届けようと、車いす単独世界一周を行い、約9カ月で23カ国42都市を回りました。世界一周後、「車椅子トラベラー」として講演活動を行いながら、旅行会社と提携して国内外におもむき、車椅子でも旅行しやすいツアーの監修などを行なっています。
今回は千歳観光連盟から「バリアフリーツアーをつくりたい」と依頼を受け、バリアフリーツアー監修のために北海道を訪れていました。
ーー転倒時の状況を教えてください。
「千歳観光連盟など観光関係の人たちと札幌市内の飲食店に立ち寄り、外に出た後に転倒しました。歩道が積雪でデコボコしていることに気づかず、前転するように路上に倒れました。
ひじとひざで受け身は取れたのですが、雪上で横倒しになった状態でした。雪がなければ、自力で車いすに戻れますが、足元が滑りやすい状況では簡単ではありません。『(雪道で)車いすにどうやって戻るか、マニュアル動画を撮りましょう』と動画を撮影しながら同行者に助け起こしてもらおうとしていた時、通りすがりの方たちに『大丈夫ですか?』と声をかけられました」
通りすがりの男女3人が駆け寄り、みよっちさんは無事、車いすに戻ることができました。
実は世界一周旅行をした時も、さまざまな場面で通りかかった人に助けてもらうことが多かったといいます。ユニバーサルツーリズムの監修をしていても、スロープやエレベーターといった施設整備を助言することはあまりなく、「ちょっと助けてもらったら解決できますよ」とソフト面の充実を助言します。
「海外で段差や坂道に困っていたら、気づいた人に助けてもらっていました。立派なスロープがなくても、ベニヤ板1枚で十分バリアフリーになります。世界一周した際、日々体感してきたことです」
ーー慣れない人にヘルプしてもらうのは怖くありませんか。
「全然怖くないです。とてもありがたかったです。
車いすになった当初は、外出することにとても勇気が要りました。『坂道があったらどうしよう』『段差があったらどうしよう』と心配になって。でも困った時、『お手伝いできることありますか?』と声をかけられるだけで、とても勇気をもらいます」
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みよっちさんはお店を訪れた際、「段差があるから車いすは無理ですね」と入店を断られることがあるといいます。一方、「普段はどんな風に入っているの?」「じゃあこういう風に手伝ったらいいですか?」と入店方法を考えてくれる場合もあるといいます。みよっちさんは「受け入れる可能性を一緒に考えてもらえたら、とてもありがたいです」と話していました。困っている人がいたら、思い切って声をかけてみるのもいいのかもしれませんね。