ビビリな元保護犬が、尻尾を振りながらお散歩ができるまで 人も犬も「一歩踏み出してみる」大切さを実感

松田 義人 松田 義人

 

動物保護センターから引き出され、生後8か月くらいの頃に現在の里親さん(カーチャンさん)の家庭に迎え入れられた元保護犬のHanaちゃん。とってもかわいいメスのワンコで、今でこそカーチャンさんの家族と毎日楽しく過ごしていますが、お迎えした当初は筋金入りのビビリワンコでした。

ビビリがあるなら、克服できるように接すれば良い

 

Hanaちゃんをお迎えした当初は散歩することも難しかったと言います。人がまばらな朝は散歩できますが、昼間などに子どもや学生さんがいると、足が震えて動けなくなってしまうこともよくあり、さらに家を出た瞬間「怖がって歩けなくなる」という事態も発生。

頭を抱えるカーチャンさんでしたが、でも慌てることはなく、のんびりと、そして根気強くワンコの「ビビリ克服術」をネットや本で調べ、Hanaちゃんに合う方法を模索しました。

散歩の際にビビるのであれば、カートを購入して草地や公園まで移動し、その地で遊べば良い。散歩自体が怖いのであれば、長めのリードを作り、Hanaちゃんが「怖いもの」「イヤなもの」をできるだけ回避できるようにすれば良い。

このように根気強く工夫を続けたカーチャンさん。その優しい気持ちがHanaちゃんにも伝わっていったようで次第に「散歩は怖くない」と考えてくれるようになり、今日では早朝の散歩は尻尾をフリフリしながら歩き回り、そしてどんなワンコとも友好的に挨拶できるようになりました。

 

ワンコとの生活は「人間を素直にさせる魔法がある」

ところで、カーチャンさんは絵を描くのが大好きです。会社勤めをしていた際には伝言メモに手書きの絵をよく描いており、これを知っていた同僚が退職の際、素敵な色鉛筆セットをプレゼントしてくれました。でも、新しい仕事が忙しく、絵を描く時間がなかなか作れず、この色鉛筆セットは長らく押し入れにしまっていました。

そんな生活をおくっていましたが、Hanaちゃんと暮らし始めてから「その様子を絵に留めたい」と思うようになりました。

押し入れから色鉛筆を取り出し、改めて絵を描き始めると、「絵を描く楽しさ」を思い出したそうです。やがて、知り合いになったワンコの絵を飼い主さんにおくってあげたり、SNSに絵をアップしてみたり、ネット通販のサイトに登録し絵を販売するようにもなりました。カーチャンさんは、その絵の売り上げとかよりも「クリエーターになってみた」というチャレンジができたことをとても嬉しく思いました。そして、そのきっかけを作ってくれたHanaちゃんにもすごく感謝しているとも言います。

「やってみたかったことをやる」「一歩踏み出してみる」……ワンコとの生活は「人間を素直にさせる魔法があるのかも」とカーチャンさんは語ってくれました。

 

昨年12歳を迎えたHanaちゃん、これからも楽しい生活を

当初こそ極度のビビリだったものの、カーチャンさんと心を通わせ、そして、とっておきの魔法をかけてくれたHanaちゃん。

昨年8月には12歳を迎えました。シニア犬の域に入り、ステージ2の腎臓ビョウ(病という言葉が飼い主さんが苦手で、あえて使わないとのこと)を抱えていますが、気持ち的にはその病気をもろともせず、楽しそうな生活をおくっているように映ります。

散歩し、家でごはんをしっかりと食べて、自分のベッドで寝る……そんなルーティンを今日も繰り返せることこそが幸せだとカーチャンさん。何気ない日常の幸せに感謝できるのも、Hanaちゃんの「素直にさせる魔法」の一つなのかもしれません。これからもきっとHanaちゃんは、カーチャンさんと笑いあいながら、絵のようなあたたかい時間を過ごしていくことでしょう。

ブログ「保護犬Hana ~ いつでもゆるゆると笑おう」
https://ameblo.jp/yukuri-home

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