よくないことだと分かっていても…兄弟姉妹を「平等に愛せない」 わが子との相性をめぐるママたちの葛藤

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お腹を痛めて産んだ子ですから、何人いようが「どの子も大事、どの子も可愛い」と一般的には言われます。しかし実際にはどうでしょう。以前、筆者は3人の子持ちママ友から、「どうやっても真ん中の子とは合わないのよ、可愛いと思えないの」といった相談を受けた事があります。意外と悩んでいるママも少なくない「兄弟・姉妹平等に愛情を注げない」という悩み。ママたちの本音を聞いてみました。

「どうしても真ん中の子と合わない」というママ友の悩み

「真ん中の子とは合わない」と語るママ友。彼女の家族構成ですが、上ふたりは女の子、末っ子は男の子です。

「上の子は聞き分けがよく、末っ子は甘えん坊。でも真ん中は何考えているかわからないところもあって…」

夫の単身赴任が重なり、最も3人の子育てが大変だった時期に、真ん中の女の子が「ママさ、私のことが一番キライでしょ!」と叫んだことがあったそう。

そのことに、彼女は大きな衝撃を受けます。そんなつもりは全くなかったのに…と。分け隔てなく育てているし、家族のルールも家事分担も子どもの年齢にあわせて平等にやらせている。

しかし。真ん中の子にだけ、言葉がキツいような気もするし、末っ子の面倒に追われながら「お姉ちゃんはよく手伝ってくれるのに」と、真ん中の子に対してつい口にしていたかもしれない。

そう言えば、コップを倒して割った時、お姉ちゃんに対しては「しょうがないよ、わざとじゃないから」と言い、お姉ちゃんは素直に謝り、すぐに自分で片付けた。でも真ん中の子がコップを割った時には、「なんでちゃんと持ってないの!テレビ見ながら歩いてるからだよ!」と怒鳴ってしまった。しかも「わざとじゃない!」と言い返す子に「すぐ言い返す!そういう所が可愛くないのよ!」と怒鳴り返してしまった。そんなことも思い出しました。

その後、彼女は努めて気をつけるようにしたそうですが、「それは努力と忍耐が必要なの」と言いました。同時に「こんなコトを言ったら絶対イケナイとはわかってるの、でもホントに今だけ言わせて。あの子とはなんかどうしても合わないのよ」と、彼女は途方に暮れたようにつぶやきました。

「平等にできない愛情表現」に葛藤

よくないとわかっていても、兄弟姉妹の中で「心の奥底でこの子は可愛くないと思ってしまう」ケース。悩みや葛藤を持つママも少なくありません。

   ◇   ◇

▽Nさん/6歳女児・7歳女児のママ

よく下の子がカワイイというけど、私は下の娘と意味もなく衝突しては「かわいげがない子!」などと思ってしまう。長女はなんていうか愛嬌があり、話していても笑ってばかり。でも下の娘とはすぐ口げんかになってしまう。

で、あるとき気づいたんですが、下の子は自分に似ているんです。いつも不機嫌で無表情だった私の幼かった頃に激似してる。もしかしたら、昔の自分を見ているようでイライラしてしまうのかもしれない。

▽Yさん/3歳男児・11歳女児のママ

結局、何かと上の子を叱ることが多い。朝の忙しい時間、夕方帰宅してからの時間、一番「今はやめて」という時につっかかってくる。年齢的なものがあると理解しているけど、ママママと追いかけてくる下の子が天使に見えてくるいっぽうで、上の子は面倒くさいと思ってしまう。そんな自分が猛烈にイヤになる。 

▽Aさん/5歳男児・9歳男児のママ

兄弟ふたり、お兄ちゃんは生意気盛りになってきたのですが、反抗されても可愛いと思ってしまいます。下の子は頭痛で座っていると「大丈夫?」と声もかけてくれる優しい子なのに、なぜか上の子ばかりが気になってしまうんです。しまいには、何かと私になつく下の子に「面倒、うるさい」とさえ思う瞬間もあったりして。こんな私は母親失格だと思うのですが、でもなぜか、どうしても、比べてしまえば上の子ばかりが可愛いんです…。

子どもにもママにも「個性と相性」はある

兄弟姉妹を全員、平等に接するというのは、実はなかなか出来ることではないんですよね。

相性というのは大きなもので、なぜだかわからないけど「どうしても気が合わない」「この子とはうまくいかない」というパターンもあります。子どもにもそれぞれ性格や個性があるわけですし、何より忘れがちですが「ママにも個性がある」わけです。だから、性格の合う・合わないといった「相性」は、わが子に対してでも、あって当然なのではないでしょうか。

しかしその「気持ち」は、できるだけ子どもに悟られないように行動するべきだし、ましてや言葉で差別的に攻撃するような事は避けるべきでしょう。多くの場合、相性の問題と思われるようなことも、「子どもの成長」にともなって変わっていくようです。反抗期を過ぎ、大きくなっていくにつれて、子どもの方が親に対する接し方を変えてくる事もあるので、こちらの気持ちも変化するわけです。本音の本音は心にしまっておき、やがて時と共に、親子の関係、兄弟姉妹の関係が変わっていく時期を待ちましょう。

   ◇   ◇

私に相談してきた彼女は、最後にこんなことを話していました。

「ウチの母親もそうだった。あなたは素直じゃない、本当に可愛くない、妹は誰にでも好かれる子なのに、と何度も言われた。だから余計にふてくされて、親の嫌がるような態度をとったし、家でも笑わなくなって。その分、天真爛漫な妹が家中のアイドルみたいだった」

あれほど自分がイヤな思いをしたのに、結局私は同じことを自分の娘にもしているのよね…と。

その後、ママ友の真ん中の娘さんは25歳と比較的早くに結婚しました。手のかかる子だった、なかなかうまくいかなかった。でも気が合わなくても、やはり大切で愛するわが子には変わりはなく、だからこそ「お姉ちゃんの時より泣けてしまった」結婚式になったようです。

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