発達障害や家庭環境など諸々の要因が妨げとなり、学校教育についていけなくなる児童は多いようだ。文部科学省が2016年に実施した「義務教育に関する意識調査」によると「授業の内容がむずかしすぎると思う」と感じている児童は48.3%(「よくある」「ときどきある」の回答者数合計)。
また国内で不登校を選択する小中学生は9年連続で増加し、2021年度の不登校児童数は244940人と過去最多となっている(文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」より)。
そんな中、「遊びで学ぶ夢中体験で、発達障害のある子も学びの楽しさに気づく学習コミュニティ」というコンセプトで立ち上げられた学習サービス「デキルバ」が注目を集めている。
デキルバは長年、小学校教員、進学塾教師、療育指導員などさまざまな立場から教育に携わってきた「なかッち」こと中道貴洋さんが中心となって発足したサービス。パソコンやスマートフォンからアクセスすることで 60種類以上の遊んで学べるオリジナル教材がダウンロード可能。学習支援に役立つ記事や動画を視聴でき、コミュニティ機能を使って学習の悩みをいつでも相談する事もできるそうだ。
中道さんにお話を聞いた。
ーーこれまでの学校教育、家庭学習で取り残されてしまう子供が出てしまっていた原因についてお聞かせください。
中道:学校の一斉授業では、子どもの理解度や興味関心に合わせた学習をおこなうには限界があります。先生方の努力と献身によって朝や放課後の時間を使った補習で個に合った学習をしていましたが、多忙化によってそれも継続できなくなってきています。家庭でも、保護者の多忙化によって子どもの発達について学ぶ時間が取れなかったり、子どもに合った学習を探したりする時間が取れなくなっています。身近に相談できる相手がいれば良いのですが、多くの保護者が専門的な知識を持った人と繋がれておらず、親も子も取り残されてしまっているのだと思います。
ーーデキルバを立ち上げようと思われたきっかけをお聞かせください。
中道:一番のきっかけは「学校ガチャ・先生ガチャ・親ガチャ」と呼ばれる言葉がSNSで頻繁に見られるようになったことでした。子どもの成長や人生が運任せになってしまっている。子どもの特性を理解してくれる人が身近にいなければうまく学習で成長ができず、反対に自信と好奇心がどんどんなくなっていき人生に希望を持つことすら難しい。とんでもない教育格差だと思いました。これは何とかしなければと強く思い、自分の14年間の教育キャリアの経験を生かし、誰もが遊びながら夢中になって成長できる学びの場「デキルバ」をつくろうと決意しました。
ーーデキルバのサービスで特にこだわられていること、リリースまでの紆余曲折をお聞かせください。
中道:一番のこだわりは、「遊びで学ぶ夢中体験を届ける!!」ということに全身全霊をかけていることです。子どもが楽しく夢中になっている内に自然と学習内容が身に付いている。その魔法のような瞬間を生み出すにはどうすれば良いかを毎日必死に考えています。「子どもに無理矢理勉強させても身につかないし自信を失うだけ」という方針なので、デキルバが浸透する前は「遊んでるだけで学習内容が身につくわけない」「うちの子はそんな勉強っぽい遊びはしないと思う」という先入観を解いていくことに苦労しました。しかし自分がこれまでに教えてきた経験から自信はあったので、「遊び」で子どもが劇的に変わっていくこと、学んだその先の未来に繋がる自信と好奇心を育てるには「遊び」が重要であること、手に取れば子どもが自然と夢中になることを伝えつづけました。今では88名もの方が登録してくださっています。
ーーこれまでの反響と、今後さらに目標にされていることをお聞かせください。
中道:デキルバの教材やライブ授業を体験した方からは
「学校の宿題を泣いて嫌がったり暴れたりしていた子がデキルバの教材に夢中になり、ご飯だからそろそろやめなさいと逆に止めるほどハマっていました」
「漢字を書くのが大嫌いだった子がデキルバの漢字ゲームに夢中になって、毎日寝る前に遊んでいるし休みの日も朝から遊んでいます」
「1時間のライブ授業がきっかけで九九をマスターしました。習ったことを学校で発表してヒーローになったと大喜びで言っていました!」
など本当にたくさんの嬉しいお声をいただいています。保護者も驚くこうした遊びながら夢中になって学ぶ体験を、日本全国の学びで困っている子ども達、お子さんの成長で悩んでいる保護者の皆さんに届けたいと思っています。そしてゆくゆくは、この夢中体験で直接学べるフリースクールを全国に作っていきたいと考えています。デキルバに参加してくれているメンバーの皆さんと一緒に「遊びで学ぶ夢中体験」をこれからも広げていきます!
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デキルバのサービス内容は公式ホームページや中道さんのSNSからもうかがえる。もし子供の学習のきっかけを探している方は、ぜひチェックしていただきたい。