NHK朝ドラ「舞いあがれ!」航空学校編スタート 厳しいパイロットの世界へ…新たな“青春群像劇”の見どころは?

佐野 華英 佐野 華英

 主人公・舞(福原遥)がさまざまな経験を通じて、空にあこがれ、空を飛ぶことを夢見る過程を丁寧に描いてきた『舞いあがれ!』(NHK総合)。「人力飛行機編」が終わり、11月21日(月)に始まる第8週からは、いよいよ舞がパイロットの夢に向かって邁進する「航空学校編」がスタートする。その見どころを、制作統括・熊野律時さんと、チーフ演出・田中正さんに訊いた。

ヒロイン・舞の新たなステージ

──視聴者のあいだではまだまだ「なにわバードマン」ロスが広がっていますが、「航空学校編」は、まったく新しい舞台となります。

制作統括・熊野律時さん(以下、熊野) 人力飛行機とは違って、旅客機のパイロットは「お客様の命を預かって空を飛ぶ」という、とても大きな責任を背負う仕事です。それがいかに厳しい世界であるかということを、舞が身に染みて体感し、新しく出会った仲間たちと励ましあったり、ときにぶつかったりしながら乗り越えていきます。

チーフ演出・田中正さん(以下、田中) 「少女編」と「人力飛行機編」は、言ってみれば「立志編」。ヒロインが自分のやりたいことを見つけていくターンでした。「航空学校編」では、大きな決断をした舞が「大人の入り口」に立ちます。その中で、新たな人間関係や、そろそろ恋の季節が訪れたりと、大きく環境が変わります。さらに、飛行機の操縦訓練の風景など、これまでに見たことのない映像も登場するので、引き続きそれぞれのシーンやキャラクターの魅力が立つように心がけて演出しています。

──キャストもガラリと変わりますね

熊野 「航空学校編」で舞の同期メンバーを演じる目黒蓮さん(Snow Man)、山崎紘菜さん、濱正悟さん、醍醐虎汰朗さん、佐野弘樹さんは揃って朝ドラ初出演。5人とも本当に魅力的な俳優さんです。

 脚本を練るための取材で、実際に航空大学校の生徒さんにお話をうかがったのですが、皆さん、実にバラエティーに富んでいるんです。それぞれに色んな事情とバックグラウンドと、動機があって、航空大学校に学びにきている。それを作劇に活かして、個性的なキャラクターを配置しました。それぞれの人物を5人の俳優さんたちが見事に、色とりどりに表現してくださっています。

 「これからぐんぐん伸びて、駆け上がっていく若い人たち」が集っているという点で、物語ともリンクしているし、5人のフレッシュな魅力と、それぞれにお持ちの実力がとてもいい形で映像に表れていますね。これが「航空学校編」の面白さではないかと思います。

徹底的な取材をもとに、リアリティーを演出

──パイロットを目指す人たちが集う航空学校という特殊な世界だけに、リアリティーを出すのが一苦労だったのではないでしょうか。

田中 舞役の福原さんをはじめ、一部のキャストさんには実際に旅客機の機長の指導のもと、副操縦席に搭乗して現場を体感してもらっています(編注:搭乗にあたっては航空機操縦練習許可書の交付を受けています)。日常のドラマだと、自分の実体験の延長で演じられますが、経験したことのないことって、演じる側にとっては不安が大きいと思うんです。実地訓練をしてもらったことでリアリティーを持って芝居をしてもらえたのが、とてもよかったと思いますね。

 本物の訓練機でのロケ映像に加え、最新のVFX技術を駆使して空撮とスタジオセットを組み合わせることで、臨場感あふれる映像になっています。俳優さんたちは、ロケでもスタジオでも操縦席から同じ空の風景を見られることで、リアルなイメージを共有できているので、かなりいいシーンになっているのではないかと。

 スタッフ総出での取材が、台本に細かく反映されているうえに、航空大学校の現役の教員や学生の方が現場にいらっしゃって、ディテールの指示をくださいます。小道具作りにも参加してくれたりして、映像に説得力が出ていると思います。

熊野 航空大学校の生徒さんや教員の方に取材をしていて、すごく印象的だったのですが、皆さん口を揃えて「パイロットになるのに、特別な能力や突出した才能はいらない」「むしろ“普通”の人が向いている」とおっしゃるんです。

 それはつまり、「バランスの取れた人間力」が求められるということだと思うんですね。どんな状況にもパニックにならずに、落ち着いていられる精神力。色んな人とコミュニケーションをとりながら、刻一刻と変わる状況に対処していく柔軟さ。そういったことが重要であると。

 旅客機を飛ばすのに、機長一人の力だけではできません。副操縦士、機内スタッフ、管制官、整備士……色んな人たち、仲間が力を合わせて、初めて空を飛ぶことができる。「航空学校編」は、このことをヒロインの舞が学んでいく重要なターンです。人間関係の大きな変化もありながら、皆でパイロットになるという目標に向かっていく、新たな青春群像劇に、ぜひご期待ください。

 パイロットという厳しい世界に飛び込んだ舞が、これからどんな成長を遂げていくのか、次週からの「航空学校編」を楽しみに見守りたい。

『舞いあがれ!』番組公式サイト

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