茨城から千葉へ、随分と回り道…でも、素晴らしい「縁」に巡り会えた 保護猫えんちゃんの物語

ふじかわ 陽子 ふじかわ 陽子

猫の名づけはそれぞれ。顔を見て決める人もいれば、代々伝わる(?)名前をつける人も。千葉県の30代男性Yさんは先に名前を決め、その名前にピッタリの猫を探していました。

その名前とは「えん」。ロックバンド・UVERworldの楽曲『EN』にちなんでYさんの妻が考えました。猫との出会いは一期一会の「縁」であり、家族で丸くなる「円」になる。そんな想いを込めたのです。

ところが、名前はあるもののなかなか「えん」とは出会えません。保護猫カフェに通ったり、里親サイトを見たりしても、この子だ!と思える猫はいませんでした。でも、それも「縁」だと、のんびりうちの子になる子を待っています。いつか、どこかで出会えるはず。

その「いつか」が訪れたのは、2022年1月13日。Yさんの妻がいつものように保護猫マッチングサイトを眺めていると、1匹のキジ白猫が目に飛び込んできました。生後7カ月ごろの女の子で、独特の面立ちをしています。それが、とても可愛い!すぐYさんに写真を見せ、Yさんもその可愛さに衝撃を受けます。

「この子に会ってみたい」

写真に添えられた譲渡会の日は、なんと3日後。しかも比較的近くで開催されるようです。運命的なものを感じ、夫妻は譲渡会へ足を運びます。でもこの時Yさんは、まだ猫と暮らす決心はついていませんでした。猫は好きだけど、一緒に暮らしたことがないため不安が大きかったのです。

けれど譲渡会当日、あのキジ白猫と対面した瞬間、そんな不安はどこかへ飛んでいってしまいました。写真で見る以上に可愛いんです。もちろん、面立ちが整って可愛い猫は他にもいます。でも、この子は特別。「縁」を感じたのです。

「この子をお迎えしたい」

そう思うと居ても立ってもいられません。すぐにトライアルの申し込みをしました。話はとんとん拍子、1月29日からトライアルが開始します。キジ白の女の子の名前は、もちろん「えん」です。えんちゃんは初日こそは初めての場所が怖くて夜鳴きしてしまいましたが、朝になると持前の好奇心旺盛さが出てきたみたい。お家の中をずんずん探検です。

家の中にはえんちゃんが楽しいと思えることがいっぱいで、すぐYさん夫妻とも打ち解けました。この様子に安心した保護主さんは、2月5日に正式譲渡。晴れてえんちゃんはYさん夫妻の家の子になりました。

思えばえんちゃんは、ここに至るまで随分と回り道をしてきました。茨城県某所で猫風邪をひいた状態できょうだい猫と一緒に保護されたえんちゃん。猫風邪が治ってすぐ里親さんは見つかりました。しかし、急きょご実家へ戻らなくてはならなくなったため、えんちゃんを迎えることができなくなりました。

その後は何度譲渡会に出ても里親さんが決まらず、ついに茨城県から首都圏の保護主さんに託されます。たくさん人がいる場所なら、えんちゃんと「ご縁」がある人がいるはず。最初の保護主さんの願いは叶い、Yさん夫妻とえんちゃんは巡り合えることが出来ました。

実はYさん夫妻も回り道をしてきたんですよ。結婚前は実家で犬と暮らしていた犬派の二人。結婚後はペット可の物件に入居し、いずれ犬と暮らすつもりでいました。それなのに、ひょんなことで出会ったとある保護猫カフェで猫の魅力に取りつかれ、迎える猫の名前を考えるほどに。今では四六時中えんちゃんのことを考え、目に入るもの全てがえんちゃんにつながるほど。

この2つの回り道は大きな「円」を描き、交差した時に「縁」が生まれました。この結ばれた「縁」が笑顔を生み、今度は家族の「円」となります。いつまでもこの「えん」の連鎖が続きますように。

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