「これ以上大きくなれません」保護した子猫は水腎症 8歳の今も赤ちゃんみたいで愛おしい

渡辺 陽 渡辺 陽

通り土間に残された子猫

モカちゃん(8歳・メス)は、2014年8月24日、強い雨が降る日に保護された。民家の通り土間でうずくまっていたという。その民家は京都府の佐藤さん宅の隣で、義実家だった。

「おそらく母猫が3匹の子猫を1匹ずつ安全な場所に運んでいる途中だったのだと思います。それに気づかなかった義父が通り土間の扉を閉めてしまい、モカだけが取り残されてしまったのでしょう」

飼えるなら飼った方がいい

佐藤さんはマンションで暮らしていたが、一軒家に移り住み、犬を飼いたいと思っていた。モカちゃんを保護したのは、その矢先。一目惚れして、そのまま迎え入れたという。

動物病院に連れて行き、「母猫がそばで心配していると思うのですが、飼っても大丈夫でしょうか」と尋ねると、獣医師は、「飼えるなら飼った方がいいよ」と言った。

「母猫に申し訳ない気持ちはありましたが、そう言われて決心がつきました。生後3週間くらいでした」

一難去ってまた一難

モカちゃんは元気に育っているように見えたが、保護してから3週間ほど経った頃、水ばかり欲しがるようになった。病院で検査してもらったところ、腎臓も肝臓もかなり状態が悪いことが判明。腎臓は両方とも水腎症で、おそらく生まれつきの奇形だろうということだった。

「それからしばらく水を制限しました。ごはんを食べさせようとすると水を欲しがってニャーニャー鳴くし、水道から水の音がすれば飛んでくるし、最終的にはお風呂の床の水まで舐めてしまって大変でした」

寝ている時間がとても長く、歩いていてもコロンと横になってしまうモカちゃん。元気がなさそうで心配したが、毎日、薬を朝晩飲ませていると、徐々に回復してきた。ごはんもよく食べるようになったが、安心したのも束の間、今度はお腹ばかりどんどん垂れ下がってきたという。

「モカは骨も成長していなくて、『これ以上大きくなれない』と言われました。普通の成長期の猫と同じようにごはんを食べると太ってしまうのです。今度はごはんを我慢させなければならず、苦労しました」

腎臓や肝臓に加え、関節も弱く、右目も反応が鈍かった。しかし、特に困ったこともなく暮らしているそうだ。

赤ちゃんのような猫が愛おしい

成長できないモカちゃんは、8歳になった今でも体重は1kgくらい。発情期もなく、歯も乳歯のままだ。

「いつまでも赤ちゃんみたいで可愛くてたまりません。そばにいるだけで幸せで、天使のよう。何をしても許せます。ただ、甘やかして育てたのでよく噛みます。噛まれても幸せですけど」

佐藤さんの夫はそれほど猫が好きではなかったが、モカちゃんが来てから猫が大好きになり、「もっと昔から猫が好きだったらよかった!」と悔やんでいるそうだ。

佐藤さんは「モカが来てくれてから、世界中の猫たちがみんな幸せでいてほしいと思うようになりました」と話している。

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