3年ぶりに多くの学校や保育園・幼稚園でプールの授業が再開される中、男女の区別がないジェンダーレス水着が販売され話題になっています。全国の保護者の男女306人に「ジェンダーレス水着」について聞いたところ、「日焼けの観点で肌の露出が少なくていい」「男女の区別がなくていい」「体型がわかりにくくていい」といった回答が集まったそうです。
アクトインディ株式会社が運営する子どもとおでかけ情報サイト「いこーよ」の研究機関である「いこーよ 子どもの未来と生きる力研究所」が、同サイトのユーザーを対象に「ジェンダーレス水着に関するアンケート」として、2022年7月に実施した調査です。
はじめに、「ジェンダーレス水着についての考え」を聞いたところ、「日焼けの観点で肌の露出が少なくていい」(58%)が最も多く、ジェンダーレスという観点ではなく、体型を目立たなくするための長袖やハーフパンツなど肌の露出を抑えたデザインが、日焼け対策としてもいいという意見が多く見られたといいます。
次いで、「男女の区別がなくていい」(53%)、「体型がわかりにくくていい」(39%)、「肌を見られるという観点で肌の露出が少なくていい」(33%)など、ジェンダーレスの観点からみて評価する意見が続きました。
一方、「泳ぎにくそう」「デザインがかっこわるい」(いずれも20%)などの意見は少なく、「全員がジェンダーレス水着指定になるのはいやだ」(10%)や「ジェンダーレス水着の必要性がわからない」(8%)など、ジェンダーレス水着に対する否定的な意見も少数だったそうです。
なお、子どもが通っている学校・園での「水着について定められている規定」について聞いたところ、保育園・幼稚園では「特にない」が77%と非常に多い一方、小学校では「黒や紺などの色や無地以外の水着の禁止」(54%)や「指定(の色)以外の水泳帽禁止」(41%)、「ベーシックな形以外の水着(セパレート水着、ロング丈の短パンなど)の禁止」(22%)といった回答がみられ、多くの小学校で水着や水泳帽の色や形に規定があることがわかりました。
ちなみに、日焼け防止に関する規定としては、ラッシュガードよりも「日焼け止めの使用を禁止」(19%)の割合の方が高いという結果だったそうです。
続いて、「プールの授業で学校や保育園・幼稚園で許容してほしいこと」を聞いたところ、「特にない」(保育園・幼稚園:56%/小学校:43%)が多かったものの、「ラッシュガードの着用」(保育園・幼稚園:27%/小学校:19%)、「日焼け止めを塗ること」(保育園・幼稚園:14%/小学校:20%)など日焼け対策に関する要望が比較的多く見られたといいます。
また、小学生がいる保護者からは「男女別のプールの授業」(17%)を希望する意見が2割弱あることも注目される点だそうです。
最後に、「学校・園のプールの授業について思うこと」については、以下のようなコメントが寄せられました。
【第二次性徴期に対する配慮をしてほしい】
▽5年生ですが、クラスの半分以上の女子の身体つきに変化があるので、男女別の授業にして欲しい。子どもも同じ意見です。
▽コロナ禍以前は低学年であった女児が、高学年になってから水泳再開されることにより、二次成長の体型の変化に関する特別授業を取り入れて欲しい。
▽高学年では男女別にしてほしい。
▽第二次性徴期以降は、生理の観点で男女別のプールの授業だと嬉しいです。
▽生理中の欠席の子どもの心理状態をもう少し配慮して欲しい。
▽女子の水着は私が子どもの頃からデザインが変わっていないので、あのスクール水着は嫌ですね。女子は生理があるので、選択できる時間があったり、男女別になってほしいなと個人的に思いました。
▽着替える場所。低学年は一応別れてはいるが男女同じ教室で着替えているから。
【もっとしっかり水泳の授業をしてほしい】
▽プールを授業として取り入れるのであれば、全員泳げるまで指導すべき。夏休みに補習とかも入れて。
▽泳ぎを覚える事で水難事故対応にもなると思うので、水泳授業はあると良い。
▽着衣水泳をして欲しいです。実際に溺れたときや緊急時に本当に役に立つと思います。
▽苦手な子、得意な子を分けて教えて欲しい。
▽水泳は必要と感じる生徒が受けられるよう、場所は提供し、外部から専門の先生に来てもらい夏休み期間やゴールデンウィークなど指導してもらえるのもいいかなと思う。
▽近くにスイミングスクールがあればそちらに業務委託するのがいいと思う。
▽水温や天候で入れなくなることも多く、授業時間がたりないのでは?
▽屋外プールのため、天候に左右されるのが難点です。
【水着の指定は不要では】
▽ほとんど使わないのに指定の水着は必要ない。
▽雨だと中止、雨じゃなく曇りで水温低くても中止、暑すぎても中止、入れる時間が短いのにすぐ成長して着られなくなる水着が高い。
◇ ◇
調査を行なった同研究機関は、「男女別プール授業はジェンダーレスという観点からは、男女で分けることが性的配慮に欠けることにもなり、難しい課題を含んでいます。ジェンダーレス水着は、解決策の一つとして有効と感じる一方、水着の問題だけにとどまらず、プール授業のあり方自体も含めて、より最適な方法は何かという議論と試行錯誤を今後も続けていく必要があると思います」と述べています。