まず帰宅した時から夫の雰囲気が違います。声のトーンが低いし、「ただいま」とさえ言わない。カバンやマフラーを乱暴に放り出す。足音はわざとらしいまでに激しく、ソファーに座ったとたんに聞こえよがしの大きなため息を連発する…。きたきたキターッ! 夫の不機嫌マックスタイムです。みなさんもこんな経験したこと1度はあると思います。
触らぬ神に祟りなし
わたしはこんな時、基本的に「触らぬ神に祟りなし」で、なるべく気付かぬフリを通しながら、当たり障りのないように夕飯をすませ、さっさと寝室に避難しますね。
気に入らないことがあったはずなので、心情としては「どうしたの?大丈夫?」と声をかけ、「そうなんだ〜、大変だよね」と苛立つ気持ちを共有したいと思っていないわけではありません。
でも、この回りくどい言い方こそがわたしの本音で、「できれば気持ちを癒してあげたいけれども」そうは簡単にいかないのが現実です。声をかけたところで話し出せばまだしも、うるさそうな態度をしたり、お前にはわからないといったニュアンスを漂わせたり、さらには八つ当たりに近いようなこともあるわけで。
ひと言でいえば「面倒くさい」のです。
本人が話し出せば別ですが、こちらがビクっとするほどの嘆息や、日常的な会話をしているのに上の空で手にしたグラスをガシャンと音をたてて置いたり、とにかく「オレさまはただいま不機嫌ですアピール」が盛大な時は、ただただ嵐が過ぎ去るのを待つように、必要なこと(たとえば夕飯とか)をすませて、退散します。
が、時にはこちらも不機嫌には不機嫌で返す、静かながら修羅場の様相になることもあり(うちは声を荒げてケンカというタイプではなく、異様に無言というパターンが多い)子どもが「やばい」雰囲気を察して、大急ぎでご飯を食べるなんていうこともありがちなわけで…。
さて、皆さんは夫の不機嫌にどんな対応をしているのでしょうか?
多かった「放置・スルー」対応
▽不機嫌マックスの時はスルー対応
年に数度ですが、何か気に入らなくて、夫がとても不機嫌なことはあります。そんな時は何を話してもあまり意味がないし、ヘタすると余計に刺激するので、ひとまず、黙ってます。子どもは普段通りですが、上の子は親の雰囲気はわかるようで、こういう時は夕飯が終わるとそそくさと部屋にいきますね。それで、しばらくたってから、一応「そういえばこの前怒ってなかった? 仕事で大変だったの?」と聞いてみます。ある程度、落ち着いてからのほうが本人も冷静に話せるみたいだし、そこで吐き出してくれればストレスが少しでも解消するかも、と思います。(Eさん/35歳/子ども4歳・11歳)
▽相手にしてられないから
はっきり言って、夫の不機嫌にいちいち付き合っていられません。なぜなら、私は夕飯の片付けをし、洗濯物をやり、連絡帳を書き、子どもの世話をし、とにかく夫の不機嫌にお付き合いできるほどの余裕などないからです。なので基本的にスルー。夫が不機嫌でも、私はいつもと変わらず、それで夕飯やお風呂がすめば、すーっと寝室にフェードアウトです。(Mさん/34歳/子ども3歳)
夫がそうくるなら…妻はもっと不機嫌になりますとも!
▽これ以上に悪化させないために
私は夫が不機嫌な時は、私も同じくらいに不機嫌になります。家のことや私がしたことで不機嫌になった時は別ですが、仕事での出来事は結局私にはわからないし、要するに家族に八つ当たりしてるわけですから。第一、私自身も仕事をしていて、それこそ帰宅して家事もしてストレスなら、こっちの方がよほどあるよ!と不毛なケンカになってしまいます。だからケンカするのではなく、私も合わせ鏡みたいに、シーンとしてムっとした顔をして、夫の相手はしませんね。冷たいとかじゃなくて、それが結局、事態を悪化させない方法だと結婚10年をすぎて出した結論です(Uさん/42歳/子ども6歳)
▽倍返しにするが短めにして退散する
不機嫌になっているだけなら、お互い様のところもあるので黙っていますが、こちらに矛先がまわってきたら、倍返し状態くらいで言い返しますよ。夫婦ですし家族だからこそ、変な気遣いを続けていたら余計にひずみが深くなる気もするから。「わたしにあたらないでよね!」「はあ?やめてくれない、人にあたるの!」とズバリ言います。で、すぐに退散します。そこから大喧嘩になって、ワケわからなくなって過去を蒸し返すような意味のない、しかもお互いに傷つき、余計に苛立つケンカにならないよう、倍返しですが短めに、あとは夫は置き去りにして、子ども部屋で爆睡です。たっぷり睡眠で私が朝、機嫌良く起きれば、まぁだいたい夫も気まずそうにしながらも、いつもの様子に戻ります(Yさん/32歳/子ども3歳)
▽夫婦付随???
新婚当時は機嫌を取ったり、すごく気を遣っていました。当時も共働き(子どもはいなかった)でしたが、ビクビクして、私も相手をするのに疲れてしまいました。今は、一時的な不機嫌のときはあまり過剰な反応はせず、話したそうだったらお酒でも飲みながら、夫が話し出すのを待ち、語り始めたら、うんうんそうだよね、とあいづちをうちながら気が済むまで聞いてあげます。でも、理由もわからず、八つ当たりをしてきたら、こちらも猛反撃にでます。それ以上の不機嫌さで「よくわからないことで、家庭で私や子どもにあたらないでよね!」とハッキリ言うし、タオルとか薄い雑誌とか投げつけることもあるかな。なにしても機嫌がすぐに良くなるわけじゃないし、こちらのストレスためて、また別の日に私が不機嫌になるよりは、もはや一緒に不機嫌になって過ごします(Aさん/40歳/子ども5歳・7歳)
夫婦で共に365日を暮らす中で
ひとつ屋根の下に過ごしている家族だからこそ、愛し愛されて(の、はず!)結婚した夫婦だからこそ、相手の機嫌は気になります。
でも、結婚してある程度の期間がすぎれば、あるいは子どもができ家庭内の様子も変われば、相手の機嫌に振り回されてはいられなくなります。
でも、それって、もしかしたら家族として家庭として「成熟した結果」なのかもしれません。機嫌の悪い夫を無視するのも、さっさと寝室に逃げ込むのも、いいえ、今でも夫が不機嫌になったら好物を作り、どうしたの、大丈夫と声をかけるという人も、共に暮らす歳月のなかで自然と「こうするのが一番いい」と経験から得た最良の方法なのかもしれません。
それにしても、スルーするという人、倍返しにするという人も、結局は夫の不機嫌が気に掛かってはいるのですね。気になるから、気にしないように、他のことをしたり、機嫌が悪い日は側にいないようにしたり、考えたりしているのですから。
誰でも機嫌が悪い日はあります。他で出せないから、家族への甘えもあって、不機嫌な素顔があからさまに出てしまうのでしょう。そんな歳月を積み重ねていくからこそ、もっともっと年老いた時に、側にいる人に「ありがとう」という思いが強くなるような気がします。
ま、そんな先の話で慰められるわけでもないし、不機嫌な八つ当たりを許せるわけでもありません。と、昨日もこちらも仕事が忙しく、さらには子どもの成績が悪くてアレコレ説教して疲れ果てたところに、大不機嫌な状態で帰宅した夫の態度にブチギレして「あなただけが大変だとでも思ってるの!?」…これ、エキサイトして言ったのではなく、とてもとても低い声でボソリとつぶやき、わざとらしい嘆息をついて、足もとの雑誌を拾い上げるとバシンと音をたててテーブルに置き、嫌な感じでチラと夫を睨みつけた…悪妻のわたしです。もうちょっとは違うやり方もあったはずかも? プチ反省中です。