誘導馬騎手から競走馬担当へ 女性厩務員が感じる馬の世界のやりがい 「産後も復帰して続けたい」

N.Ritsu N.Ritsu

 園田競馬場(兵庫県尼崎市)で働く女性厩務員の藤本里奈さん(28)。2019年春から厩務員として競走馬のお世話をしています。

 藤本さんはテレビで競馬を見て、馬に興味を持ち始めたそうです。乗馬を習い、園田競馬の誘導馬騎手としても活動していました。現在、厩務員として活躍する藤本さんにお話を伺いました。

――馬に興味を持ったきっかけを詳しく教えてください。

「たまたまテレビで競馬を見て、馬にほれ込んだというか、馬ってかっこいいなって。そこから、乗馬したいってお母さんとかに言ってたんですけど、なかなか高くてできなくて、たまたま母が体験乗馬のチケットをもらってきたみたいで体験乗馬に行ったことがきっかけで、どっぷりと。そこから乗馬を習い始めて、ずっとここまで来てる感じです」

――厩務員になろうと思ったのは?

「ここで誘導馬に乗ってたんでなんとなくは知ってたんですけど(厩務員の)旦那と出会ってから、厩務員が実際にどういう仕事をしてるかっていう話を聞いて『すごいやりがいがありそうな仕事だな。やってみたい』と思いました」

――実際に仕事をしてみてどうですか?

「楽しいし、すごいやりがいはありますね。体力的にしんどいところもあるけど、やりがいの方が大きいですね。自分がやったらやっただけ、馬も応えてくれる感じはするので」

 2019年4月23日に、当時の担当馬・ドリームデーアが1着となり、藤本さんが厩務員になって初勝利をあげました。

――当時を振り返ってどうですか?

「厩務員になってまだそんなに経ってなかったんですよ。4月に入ったところだったんで、まだ1カ月も経ってなくて、『もう、え、勝っちゃった』って感じが大きいですね。そのときも、担当が代わってまだ間もなかったんです。ドリームデーアを担当し始めて、いろんな人に教えてもらいながらやってて、あれやこれやで勝っちゃったって感じ。めっちゃうれしかったですね」

――ドリームデーアとのエピソードは?

「すっごいおとなしい子だったんですよ。でもデカくて、おとなしいおっとりした大きい女の子って感じでかわいかったですね。デーアが引退してからも1回会いに行ったんです。大山の乗馬クラブに行ってるみたいで、会いに行って乗せさせてもらいました」

 兵庫初の女性騎手・佐々木世麗騎手が2021年8月19日に通算40勝を達成。騎乗したトウケイメニモミヨは藤本さんの担当馬で、佐々木騎手とのコンビで初勝利となりました。

――佐々木騎手とどのように喜びを分かち合いましたか?

「私が厩務員になって初めて2歳のデビュー前から担当した馬がメニモミヨだったんで、すごい思い入れの強い馬でした。なかなか勝ちきれなくてモヤモヤしてるところで世麗ちゃんに乗ってもらって、勝てて本当に喜びしかないって感じでした」

――佐々木騎手との仲良しエピソードを教えてください。

「研修生だった頃から一緒に海遊館に行ったりとか買い物に出かけたりとか、よく遊びに行ってたんで。世麗ちゃんが100勝したときに、お祝いでってみんなで旅行に行ったりして、遊びにはよく行ってますね」

 藤本さんは今年1月に結婚し、現在妊娠中です。

――現在、厩務員の仕事は?

「周りに手伝ってもらいながら続けてるって感じです。担当馬は3頭です」

――妊娠前との仕事の違いはどうですか?

「やっぱり体はめっちゃ重いですね。動きたくても動けないことがやっぱりしんどいですね。馬の運動とかちょっと危なそうなところは、みんなに手伝ってもらいながら自分のできる範囲でやっているので、そこらへんは本当にありがたいです」

――仕事のスケジュールなどは?

「あまり変わりなくですが、今はだいたい朝4時くらいからですね。もともとはもっと早かったです。調教とか運動とかを旦那さんに行ってもらって、私は手入れと寝藁とか、厩舎の中の作業なんで、起きる時間はちょっと遅くなりました」

――お腹の赤ちゃんへの、馬によるリラックス効果などはありますか?

「どうなんだろう。仕事中はやっぱり気を張ってるからあんまりないかもしれないです。昼作業とかで馬房の中にいる馬を触ったりしてるときは、リラックスしていますね」

――最後に今後の意気込みをお願いします。

「これからも子供を産んだあともまた復帰して厩務員を続けられたらと思うんで、頑張りたいです」

 女性騎手の躍進が話題の競馬界。藤本さんのような女性厩務員の活躍にも注目です。

▼Twitter「そのだメール☆ひめじメール」
https://twitter.com/sonoda_himeji

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