灼熱の国・台湾人に学ぶ熱中症対策とは「とにかく日に当たるな」「かき氷の食べ過ぎはだめ」他には?

Coco Coco

 台湾のイメージといえば、暑い国! しかし現地では熱中症があまり話題になりません。というのも、現地の人たちは熱中症になりにくい暮らし方を当たり前にように実践しているのです。台湾在住の筆者が、台湾人の熱中症予防の秘訣を探りました。

5月から10月まで30度以上が続く

 この国はとにかく暑い! 筆者は北部の台北在住ですが、3月から25度を超える日が始まり、5月にはもう30度、そしてその暑さが10月頃まで続きます。台北市は亜熱帯気候ですが、実は沖縄の石垣島よりも北に位置しています。それでも日本の本州で育った身からするととても暑く感じます。さらに年間を通して湿度が高いので、一歩外に出ると大量の汗。あまり汗をかかない体質の筆者でも夏場は1日に2度シャワーを浴びることも少なくありません。

 台湾に住み始めてから日本のニュースを見て気付いたのですが、台湾では熱中症はほとんど話題になりません。2020年のデータですが、台湾で熱中症のため病院にかかった人は約2700人といわれています。人口2300万人の国とはいえ驚くほど少ない数字です。これでも10年間で85%増えたというから驚きます。

日傘を差さずに歩いていたら、知らないおじさんが…

 台湾に移住後、現地の人たちから実際に注意されたことを振り返ると、台湾の人たちは生活の中に自然に熱中症対策を取り入れていることが分かりました。Q&A形式でご紹介します。

 Q:台湾の熱中症対策は誰が発信。

 A:天気の管轄は政府の交通部中央気象局で、SNSなどで配信しています。また、コロナ情報を配信している衛生福利部もLINEを登録しているとかわいい柴犬のキャラクターを使った暑さ注意のお知らせが届きます。

 Q:現地の人から気をつけるよう注意されたこと。

 A:とにかく『日に当たるな』と言われます。台湾人は皆さんなかなかの太陽嫌いで、日光浴を楽しむ文化はありません。カフェのテラス席に座っているのは外国人ばかり。筆者は夏は海辺で肌を焼くのが好きですが、海に行くと現地の方々は全員パラソルやテントの日陰にいます。

 日傘も男性を含め日常的に使用されていますが、筆者は習慣がないので使いません。そのこともかなりの頻度で注意されます。以前、晴れた日に道を歩いていると、路上で知らないおじさんからいきなり傘(雨傘)を差し出されたこともありました。全く知らない方だったので怖くなってそのまま歩き続けましたが、今思えば『日傘にして使いなさい』ってことだったと思います。

 あとは『水をたくさん飲むように』です。年間を通していろんな人から言われます。

 Q:具体的な熱中症対策は。

 A:基本的に台湾人は暑い時間帯は外に出ません。運動や犬の散歩は朝方と暗くなってから。夕方以降の公園はかなりの人でにぎわいます。夜市も夕暮れ時から始まるマーケットで、夏場の行動時間が夜に集中しています。そして台湾人は夏でも常温の水を飲み、一気に体を冷やさないようにします。筆者のかかりつけの漢方医は、現代人はかき氷など冷たいものを食べすぎているから熱中症になりやすい、と言っていました。また、漢方医いわく、刮痧(グアシャー、かっさ)が熱中症に効果があるらしく、台湾人は熱中症気味な時は自分で刮痧をする人が多いそうです。それもあって、熱中症で病院にかかる人が少ないのではーーとのことです。

※刮痧(かっさ)とは、中国の自然療法の一つで、水牛の角・石などでできた専用の板や陶製のさじなどで、皮膚を刺激し新陳代謝を促進するもの。

     ◇

 台湾に来て学んだことは、暑い時は無理をしないこと。少しでも暑さが不快に思ったら冷房の効いている場所で休む。可能な場合は外に出ない。日陰を選ぶ。日傘を差す。冷たいものを食べて体を冷やすのではなく、常温の飲料でしっかり水分補給すること。日本も今年は猛暑と聞きます。くれぐれも無理をせずに気をつけてお過ごしください。

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