水の上でのんびりプカプカする姿。一見温厚そうにみえるラッコですが、じつは気性が激しい一面を持っています。鳥羽水族館の公式ツイッターに投稿されたのは、ラッコのキラちゃん(メス)が、激しく手をたたき、うなり声を上げながらイライラしているような姿。話題になったその動画について担当者に話を伺いました。
動画には「キラ:「タンタンタンタンッ公式マーク申請通りませんでした…」の言葉が。ツイッターの公式マークへの申請が通らなかったことに対して、お怒りだという姿が投稿されました。
ツイッターでは、「怒りのうたを歌っているように聞こえるな」「こんな鳴き声なんだ」とあまり聞いたことのないラッコの声への驚きや、「ラッコの荒ぶり可愛すぎる」「ごめん、めっちゃ怒ってはるけど、おこりん坊さんが可愛いと思ってしまう」と、その姿に癒やされる人のコメントが続出しました。
飼育員さんの足をたたきながら、「ア”ァッ〜」と声を上げるキラちゃん。一体何に対して怒っているのでしょうか。
「キラ」と声をかけられる度に反応しているようです。担当飼育員さんによると「名前を呼ぶと鳴くように教えてあるため、声を出しています。動画の中で何度も呼んでいるので、ちょっとイラッとして鳴き声もヒートアップしているのかもしれません」とのこと。
手をタンタンとたたきつける行動については、「キラは動きを止める事が苦手なんです。いつも勝手に動いてしまうのですが、今回は手が止まらず、たたいている風になったのだと思います」と説明してくれました。
今回、ツイッターの公式マークが否決され、同水族館の気持ちを表すために動画を公開したそうですが、「過去に5回ほど申請しております。今回も通らず、またダメか…という気持ちでした」。5回も……公式マークへの道は、なかなか高いハードルなのですね。
今後の意気込みを聞くと「次の申請は、通知の30日後からしかできないようですが、これからも申請していく予定です」と話してくれました。ぜひ、公式マークをゲットして、今度はよろこびのツイートをしていただきたいものです。
先輩ラッコも個性的、かわいい「ニギニギ」って!?
約1200種と日本一の同水族館では、現在はキラちゃん(14歳)と先輩のメイちゃん(メス・18歳)、2頭のラッコを飼育しています。
今回の動画では荒ぶっている姿を披露しましたが、普段はマイペースでおっとり、周りの事はあまり気にしないというキラちゃん。過去には同居している先輩のメイちゃんに、食べ物をジャイアンされた(とられた)時でさえもノホホンとしている様子。
実際はどうなのでしょうか? 「少しだけ怒るというか、嫌がっていますね。『ギャーッ』と小さく鳴くこともありますが、メイには勝てないと思っているのか、すぐにあきらめてしまいますね」と飼育員さん。
2021年の3月に、アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)から引っ越してきたキラちゃん。鳥羽水族館生まれで大先輩のメイちゃんには、強く出られないのかもしれませんね。
そんな大先輩のメイちゃんの動画も人気で、飼育員さんに顔をニギニギされるメイちゃんの動画はツイッターで3.4万ものいいねを獲得しています。
顔をニギニギされて、気持ちよさそうなメイちゃん。この動画は、お昼のお食事タイム終わりに遊んでいた時に撮影されたそうで、気持ちがいいのか自分から顔をすり寄せているようにも見えます。
顔をニギニギされるのが好きなのでしょうか? との問いには「わかりません。嫌なときは、離れてしまうのですが、離れていかないので、嫌がってはいないと思います」と答えてくれました。
動画の最中に、メイちゃんが飼育員さんの手をギュッとおさえているのは「握手」の動作だそう。「もともと手を出すとにぎってくれるんですが、種目の中にも“握手”があるので、それだと思って手を握ってきたのかもしれません。メイなりにいつも、何をすればいいのか考えてくれています」。気になるメイちゃんのさわり心地は、意外としっとりさらさら。毛が乾くとモフモフになるのだそう。
とっても人懐っこいメイちゃんについて、「もしかすると鳥羽水族館生まれだからかもしれません。飼育員との信頼関係が築けている証かも」と飼育員さん。「とても頭が良く、常に考えて動くタイプなので、神経質でちょっと怖がり。でも好奇心は旺盛です」とメイちゃんの魅力を語ってくれました。
国内で公開されているのはわずか3頭。絶滅危惧種のラッコ
現在は国内2施設に3頭しかいないラッコ。そのうちの2頭が、メイちゃんとキラちゃんです。日本でラッコの飼育が始まったのは1982年。1984年には鳥羽水族館で国内初の赤ちゃんが誕生し、空前のラッコブームが起きました。
そんなラッコは現在、絶滅の危機にある動物として、絶滅危惧種に指定されています。毛皮を目的とした乱獲や、1989年に米アラスカ沖で起きたタンカーの原油流出事故の影響で、野生での生息数が激減したためです。
日本でラッコの飼育が最盛期だった1994年には、全国28施設で122頭が飼育されていましたが、1990年代の終わりには原則輸入禁止に。今後は捕獲や輸入もできないため、鳥羽水族館でも今後仲間が増える予定はありません。
最後に、飼育員さんにキラちゃんとメイちゃんへのメッセージをお願いすると「これからもいろいろな表情を見せてほしい。1日でも長く元気に過ごしてほしいですね」と話してくれました。
飼育員さんがおっしゃったように、少しでもよい環境で元気に長生きして欲しいですね。
「鳥羽水族館」
住所:三重県鳥羽市鳥羽3-3-6
電話:0599-25-2555(代表)
公式ホームページ:https://aquarium.co.jp
公式Twitter(@TOBA_AQUARIUM):https://twitter.com/TOBA_AQUARIUM
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