ゼンリンの全国調査で判明!富山・石川の小学校に修学旅行がない説 両県に聞いた

竹内 章 竹内 章

小学生のころ、修学旅行の行き先はどこでしたか? 地図情報最大手のゼンリン(福岡県北九州市)が、Twitter集計による行き先マップを公開して話題です。「首都圏では日光が多く東京は『移動教室』と呼ぶ」「関西は伊勢志摩が人気。近年は広島行き」と興味深いトレンドがうかがえますが、気になったのは「富山・石川は修学旅行がなかったそうです」の一文。さらっと書いてますが、これって衝撃的事実では!

記者は石川県のお隣・福井の生まれ。小学校の修学旅行では奈良公園や大阪城などを観光しました。奈良・信貴山近くの旅館ではトランプや枕投げをした記憶がうっすら。富山・石川の小学生はそんな思い出づくりをしていないのでしょうか。

同僚のパートナーが石川・金沢の近郊出身と聞き、取材を依頼。聞き取りによると、行事の名前は覚えていないが、6年生の時に国民の宿的な施設(石川県内)に宿泊し、キャンプファイヤーや森の中でオリエンテーリングなどを楽しんだとのこと。それって、いわゆる泊りがけ野外学習では…。「修学旅行は中学生や高校生が行くものというイメージでした」とパートナーさんは振り返ります。やはりゼンリン調査通り、観光メーンの一泊二日旅行はないようです。

教育委員会に聞いた

石川県教育委員会に聞きました。学校指導課によると、県教委から市町教委への通知の中で、小学校については「宿泊を要する行事は実施しない」という原則があり、小学校行事には「修学旅行」は存在しないとのこと。ただし「県内に限り在学中に一泊二日」という例外規定があり、それに基づいて、石川県の小学生の多くは県立能登少年自然の家に出掛けるそうです。他県のような修学旅行が小学校にない理由を尋ねましたが、「そう言われても…。こういった質問を受けるのも初めてです」と電話の向こうから担当者の戸惑いが感じられました。

富山県教育委員会にも確認。修学旅行は中学校ではあるものの、小学校ではなく、その代わりといえそうなのが「集団宿泊学習」。高学年児童が県内の「少年自然の家」などの施設に泊まります。担当者にゼンリンの調査結果を伝えると、「そうなんですか…」(小中学校課)との反応でした。

同僚のパートナーさんが今でも地元に住んでいる友人に連絡をとって、今回のゼンリンの件を伝えたところ、「これまで、他の県の小学生の修学旅行を知らなかったので、うらやましがりようがない」といった反応でした。ちなみに通っていた中学校の修学旅行は、3泊4日で京都&東京をめぐる盛りだくさんの旅程だったそうです。

ゼンリンの担当者に聞いた

今回のゼンリンの地図は、日本地図に手書きで各県の修学旅行先が色分けされて書き込まれ、一目瞭然の見やすさです。SNS担当者に聞きました。

ー小学校の修学旅行の行き先に着目したのは

「社内での雑談がきっかけです。山口県出身の同僚から『小学校の修学旅行は長崎だった』と聞き、他にも尋ねてみると『福岡県の小学校は長崎1択!』『いや、北九州は大分と熊本では?』などと盛り上がり、これって全国でいろんな特色がありそう…と思いました!」

ー最大の発見は

「富山・石川の大多数の方は、修学旅行がなく県内での宿泊合宿や立山登山であったことに驚きました。移動教室も初耳でした。これからは出身地をお聞きしてから修学旅行の会話に臨もうと思います」

ーSNSの中の人の修学旅行はどちら方面でしたか

「埼玉県出身で日光でした。華厳の滝や日光東照宮などに訪れた記憶があります」

修学旅行について、文部科学省は学習指導要領に定める特別活動の中の学校行事に位置づけており、「子供たちにとってかけがえのない貴重ない出となる有意義な教育活動」としています。新型コロナウイルス禍が続きますが、「その教育的意義や児童生徒の心情等を考慮し、適切な感染防止策を十分講じた上で、その実施について特段の配慮をお願いしたい」としています。

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