亡き愛猫が導いてくれた…赤ちゃん猫との出会い “育児”の忙しさが、悲しみを「思い出」に変えてくれた

ふじかわ 陽子 ふじかわ 陽子

大阪府で暮らす猫のりんちゃんは、好奇心旺盛な1歳半の女の子。いつも可愛い洋服を着て過ごしています。これはいざという時のため、ハーネスへの抵抗をなくしてほしいという思いから。病院へ行く時だけでなく、最近多い災害のことも考えてのことです。お母さんのMさんには、ちょっぴりお散歩への憧れもあるみたいです。いつか出来るかな?

この可愛い可愛いりんちゃんが生まれたのは大阪府某所。生後間もないころ、保護猫活動をしているNPO法人に兄弟猫と一緒に保護されました。何らかの理由があって、母猫から飼育放棄されたようです。

生後約1カ月の時、今のお家に迎えられました。本来、譲渡されるには早い月齢ですが、それには理由があります。それは、Mさんが猫の赤ちゃんを育てたいと希望したから。実はMさん、愛猫を病気で亡くしたばかりだったのです。

その子の名前はにゃんこちゃん。この子も保護猫です。13年もの間、Mさんに寄り添い続けました。家にいる時は、ずっとMさんの後をついてまわる猫だったんですよ。これからも一緒だと思っていたにも関わらず、あっけなく病気で虹の橋のたもとへ。無力感に襲われたMさんは、子猫のお世話をすることで悲しみを乗り越えようと考えました。

そこで、にゃんこちゃんそっくりの猫を広告に使っていたNPO法人に連絡をし、子猫を譲ってもらうことに。希望する猫の条件は「女の子」「赤ちゃん」この2つしか伝えていません。NPO法人が紹介してくれたのは、りんちゃん1匹だけでした。他にも条件に合う猫はいましたが、理屈でなく「この子が良いだろう」と考えてのこと。

その読みは大当たり!初めてりんちゃんと会ったMさんは一目で「この子だ!」と感じたのだそう。トライアル期間を経て、正式にMさんの家の子になりました。

そうはいっても、最初から順調ではありません。初めてではないものの不慣れな育児。NPO法人の職員さんからは風邪をひいていると聞いていたのに、全然ぐったりした様子がありません。元気過ぎて、薬を飲ませても大丈夫なのか…。赤ちゃん猫は体調が不安定なので、毎日がハラハラの連続です。

ミルクをあげるのも一苦労。もう乳歯が生えてきていたので、哺乳瓶の乳首を嚙みちぎるんです。そうなるとミルクが一気に出てしまい、りんちゃんは何度も溺れそうになりました。授乳のたびにびちゃびちゃになるので、毎回バスタオルにくるんであげていたんですよ。

元気いっぱいで思いのほか手がかかるりんちゃん。気が付けば、別れの悲しみに沈んでいる時間がなくなっていました。目の前にいるりんちゃんが楽しそうにしてくれていると、にゃんこちゃんとの日々は思い出に変わっていったのです。心の中ににゃんこちゃんがいてくれるからこそ、大変な育児も乗り越えられました。

Mさんの愛情ですくすく大きくなるりんちゃん。大きくなっても赤ちゃんのころと同じく元気いっぱい。いや、パワーアップしたかも。3歳年上の先住猫のミミちゃんにちょっかいをかけては「シャー!」といわれる毎日なんですよ。でもミミちゃん、ご飯を取られるのはOKみたい。Mさんに頼めばまた貰えるので、りんちゃんにはお腹いっぱい食べてもらいたいようです。

食べ物に興味津々のりんちゃんですが、今はいきなりがっつくことはありません。それは、M家の飯前のルール「いただきます」ができるようになったから。お手とおかわりをするのが「いただきます」なのですが、最初りんちゃんはできませんでした。ミミちゃんがお手本を見せてくれるのものの、前足を片方ずつ出すのが難しかったよう。

そこでりんちゃんは考えたのです。それはMさんが手を出すと目を閉じて顎を乗せる。これならりんちゃんも上手にできます。「いただきます」ができるようになったりんちゃんは、ご飯の順番も守れるようになりました。

今まで4匹の保護猫と暮らしてきたMさんですが、りんちゃんには驚かされることがいっぱい。最初はにゃんこちゃんとの別れを癒すために迎えたりんちゃんが、にゃんこちゃんと違うからこそ愛おしいようです。

でもりんちゃん、そろそろ甘噛みを覚えてね。Mさん、傷だらけだよ。お願いね。

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