地域猫の不審死が東京で相次ぐ 吐血や嘔吐など…死体を司法解剖へ 獣医師「毒物を飲まされた可能性も」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

東京都武蔵村山市内の住宅街周辺で地域猫の不審死が昨年12月から今年3月にかけて相次いで起きていることが分かりました。同所で地域猫のTNR(※)活動をしている「武蔵村山TNR地域猫の会」(以下、地域猫の会)によると、死んだ猫たちは目立った外傷はなく、口から血を流していたり、黄色の液体などを吐いたりしていたといいます。現在、警察を通じ、大学病院で猫の死体数件の司法解剖を行っているとのこと。

「地域猫の会」の元代表・山口さんは「餌などに毒物を盛られた可能性もあり、猫たちの死体を警察に回収してもらって病院で司法解剖を行っております。これにより体内から毒物検出となれば動物虐待事件として捜査してもらえたら諦めずに動いてきたかいがあります」と話します。

※TNRとは、Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すということ

地域猫の不審死や行方不明が昨年12月中旬から住宅街周辺で発生 

山口さんによると、地域猫の不審死は昨年12月中旬から発生。不審死が初めて見つかったエリアでは、こつぜんと姿を消してしまった地域猫もいたとのこと。20匹近く地域猫が不審死、そして行方不明になったといいます。

「初めに発生したエリアは、餌やりの男性がお世話をしています。報告を受けたのは、今年2月に入ってから。前回捕獲できなかった猫の不妊去勢手術を行うため、男性に連絡したところ、行方不明になったり、死んでしまったり、また具合いが悪そうな子を病院に連れて行ったりしていたと聞きました。30匹近くいたという地域猫も、今残ったのは数匹ほど。異常事態に驚きました」(山口さん)

今年3月も地域猫4匹が不審死

さらに、今年3月も不審死などが相次いでいた住宅街周辺で再び不審死を遂げた地域猫が4匹見つかりました。4匹のうち3月初旬に見つかった茶白猫は吐血し、ぐったりしていたところを「地域猫の会」の現代表・池村さんが病院に連れて行ったとのこと。血液検査をすると、腎臓の数値が異常値を示し、急性腎不全を起こしていました。獣医師からは「毒物を飲まされた可能性も否定できない」と告げられたそうです。

「茶白猫は翌日、病院で死に絶えました。近所の方から茶白猫が倒れいていた当日午前中に猫の悲鳴を聞いたそうです。そのあと、立て続けにキジ猫、白黒猫、キジトラ猫の死体が見つかりました。いずれも警察を通じて病院で司法解剖を行っているところ。検体結果が分かるのは、1、2カ月かかるようです」(山口さん)

また現在、地域猫の不審死などが相次いだ現場周辺では、住民らがパトロールを行っているといいます。

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動物保護団体「虐待・虐殺と疑われる猫などを見かけたら、110番通報を」

「地域猫の会」によると、昨年11月も武蔵村山市内でトラバサミで虐待され2本足になった猫が発見されたとのこと。こうした猫の虐待・虐殺が相次いでいることに、山口さんはこう訴えます。

「猫などの虐待と疑われる状況や不審死を見掛けたら、市役所に連絡して回収してもらう前に死体をそのままに現場保全をして110番通報してください。ただかわいそうだと悔やむだけではなく、虐待・虐殺の可能性もあるので、警察に捜査してもらうためにもお願いしたいです。また市内では野良猫が増えている地域もあり、野良猫が増えて困っている際には私たちのような保護団体などにTNRの相談もしていただけたらと思います」

主にTNR活動をしてきた「地域猫の会」では、このような危険な地域から1匹でも多く猫を救うためにと成猫の預かりボランティアを募集しています。問い合わせは、Twitterアカウント(@chikineko_2021)のDMまで。

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Twitter:「東京都武蔵村山市飼い主死亡による多頭飼育崩壊の猫たちを救う会ボランティアさん募集中」(@chikineko_2021)
https://twitter.com/chikineko_2021

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