かつてAKBグループに頂点に君臨し、現在ではもはや一アイドルの域を脱して芸能界で活躍する指原莉乃。
TBS「坂上&指原のつぶれない店」、テレビ朝日「ヒロミ・指原の“恋のお世話始めました”」のMCや、フジ「ワイドナショー」の準レギュラーをはじめ、アイドルグループのプロデュース、YouTubeチャンネルの開設など、幅広い活躍をみせている。Twitterのフォロワーは330万人を超えるなど、その影響力は大きい。
今から15年以上前だと「指原」という名字を見たことのある人は少なく、初見で見た人の多くは「ゆびはら」と読んだはずだ。しかし、今では「指原」という名字を「さしはら」と読むのは常識。一人で世間の常識を変えてしまった指原莉乃の影響力はすごいと言わざるを得ない。
さて、この「指原」という名字、全国ランキングでは11000位台。1万位以下は珍しい名字なので、「指原」も珍しい名字である。大分県以外にはほとんどなく、指原莉乃も大分県の出身。しかも、大分県でもほぼ大分市のみに集中しているという1点集中型の名字で、この地にルーツがあるのは間違いない。
とくに多いのが、大分市東部の丹川地区。市内には「佐志原」という名字もあり、「さしはら」という言葉がルーツで、あとから漢字を宛てたものだと考えられる。
では「さしはら」とはどういう場所を指すのだろうか。
「さし」は動詞「さす」の連用形で、いろいろな意味があるが、地名の由来としてはとしては大きく2つの説が有力。
一般的に知られるのは、上代語で焼畑のことを「さす」と言ったというものだ。これは武蔵国を中心に東日本でよく使われ、東京都文京区白山は古くは小石川指ヶ谷(さすがや)という地名だった。また、西武池袋線の電車の行先として知られる埼玉県所沢市の「小手指(こてさし)」という地名も、焼畑に因む地名といわれる。
もう1つが、真っすぐな地形や細長い地形を指すというもの。大分市丹川地区は丹生川に沿って長く伸びる谷間で、古代から「丹生郷」として資料にも登場する。この川沿いに古くから開けた谷間を「さしはら」と呼び、ここに住んだ一族が「さしはら」を名字として、「指原」という漢字をあてたのが由来だと思われる。