子育て家庭における支出の中で、負担が大きくなってしまうものの1つが「子どもの教育費」です。特に大学の学費は数百万、学部によっては数千万のお金がかかってくることがあります。大学の中でも学費が高いのはやはり医学部・歯学部・薬学部などの医療系の学部。今回は最もお金がかかる私立大学医学部の学費と、学費を払うために必要な保護者の年収について見ていきましょう。
私立医学部の学費は6年間で約1900万円~4700万円
医学部がある大学は全国に82大学で、そのうち国公立は51大学、私立は31大学あります。国公立医学部にかかる学費が6年間で約350万円なのに対し、私立医学部の学費は6年間で約1900万円~4700万円と非常に高額で、学校によっても大きな差があります。
また、家から遠方の大学に通う場合は一人暮らしの費用もかかります。「2020(令和2)年度 学生生活調査結果」(日本学生支援機構)によると、アパート等を借りて大学に通学する場合、生活費として年間約144万円を保護者が負担していることが分かります。
私立医学部かつ一人暮らしなら年収3000万以上必要に
「私立医学部かつ一人暮らし」という最もお金がかかるケースなら、生活費を含め年間450万円~950万円、「私立医学部かつ自宅から通学」の場合でも年間300万円~800万円のお金が必要になります。では、どのくらいの年収があれば、こうした高額な費用を支払えるのでしょうか。
無理なく支払うための目安は「年間の教育費を年収の10%以内、かかる時期でも年収の15%以内に収めること」。この基準を適用すると、私立医学部かつ一人暮らしの場合は少なくとも年収3000万円以上が必要に。自宅から通う場合でも年収2000万円以上が必要です。当然ながらこうした年収を会社員家庭が稼ぐのは難しいため、無理なく支払えるのは開業医や経営者、資産家などごく一部に限られてしまいます。
一方で国公立医学部なら、年間にかかる学費は年間約60万円で、一人暮らしをしても年間約200万円となります。早めから大学進学に向けて教育資金づくりをしていれば、一般家庭からの進学も可能な範囲です。
どうしても私立医学部を検討するなら……
金銭面が厳しくても、どうしても私立医学部への進学を考えたいなら、奨学金等の制度を検討する方法もあります。私立医学部によっては学費の一部を免除する制度や、授業料と生活費を支給する奨学金制度などが利用できるところがあります。奨学金によっては卒業後の勤務要件などを満たすと、返還が免除されるケースも。
ただしこれらの制度を利用するには入試でいい成績を取ったり、卒業後に指定された分野(救急医療やへき地医療など)で勤務を行ったりしなければならず、本人の努力や強い意志が必要です。いずれにせよ「狭き門」であることに変わりはありません。