ニャンコは飲めないけど…売り上げで保護猫活動を支援する白鹿の清酒「ネコダスケ」に予約殺到 猫好き担当者に開発秘話を聞いた

神戸新聞社 神戸新聞社

白鹿ブランドで知られる西宮市の酒造会社「辰馬本家酒造」が、2022年2月22日(ニャオニャニャニャニャニャ)の「猫の日」を記念した清酒の瓶詰め商品をつくり、注目を集めています。その名も「黒松白鹿 ネコダスケ」。人気イラストレーターのオキエイコさんがラベルのデザインを手掛け、売り上げの一部を野良猫の保護活動にあてます。2月4日にオンライン予約を受け付けると即日で完売する人気ぶり。18日から店頭での販売が始まります。

製造は「222本」限定、税込み「2222円」というニャンニャンづくめ。チラシには小さく「※これはお酒です。ニャンコは飲めません。ごめんにゃさい」とただし書きをしつつ、大々的に商品コンセプトをこう記しています。

「呑めて、飾れて、寄付もできちゃう! 知らない間に猫を守れちゃうお酒」

オキエイコさんは、ラベルを黄色やピンクを中心に柔らかい色使いで描き、「商品を通して人の輪や助け合いの輪が広がってほしいとの思いを込めた」と話します。

自身も保護猫を2匹飼っていて、野良猫問題は殺処分だけでなく、保護するという選択肢があることを広く知ってもらおうと書籍も出版されています。

「お部屋に飾っても楽しめるようなネコたちを書き下ろしました。お酒好きな方も普段飲まない方も、お手に取っていただけたらうれしいです」

では、なぜこんな商品ができたのでしょう。考案した商品部広報担当の田中美紗さんに聞きました。

   ◇   ◇

――相当な猫好きですか?

「幼い頃から猫を飼っていて、動物が身近にいることは当たり前だったんです。そんな中、5年ほど前から保護猫に関心を持ち始めて、それが今回の企画につながりました」

「きっかけは神戸のNPO法人が開いた『街に生きる地域ネコ写真展』です。野良猫の保護に欠かせない不妊去勢手術を団体側がしたり、元いた場所に戻した後もトイレや食事の世話を献身的に続けたりする活動が紹介されていました」

「それを見て、なんだか人ごとに思えなかったんですね。そこで、保護猫のボランティア団体に顔を出し、実際に譲渡会に参加して保護猫3匹を飼うことにしました」

――写真、かわいいですねえ。

「どれもメスで、右からサビ柄の『わさび』『チロ』、そしてハチワレ柄の『はっちゃん』です。飼い始めた頃は生後3~4カ月でまだまだ小さかったけれど、今では2歳半ほどまで成長しました」

「わさびは一番小さくて賢い。たまに甘えてくるのがめちゃくちゃかわいいです。チロは何をされても怒らなくて優しい。いつもみんなになでられています。はっちゃんは怖がりです。警戒心が強いけれど、このごろはおなかも見せてくれるようになりました。3匹とも性格が全く違うので面白いですよ」

「それでも野良猫に対して、個人でできることは限られています。それなら企業として何かできないかって考えました。昨年4月ごろ、会社に今回の企画を提案すると、手応えがありました」

――本社のある西宮市は「人と動物が共生できるまちづくり」を掲げてますよね。離乳前の子猫に市民ボランティアがミルクをあげて育てる制度を設けたり、保護や譲渡がスムーズにできるよう、ふるさと納税を活用した動物愛護基金を設けたりしています。

「そう。そこで市が目指す『実質的殺処分ゼロ』に貢献しようと、商品の売り上げから1本につき222円を市の基金に寄付することにしたんです。オキエイコさんにデザインをお願いすると、二つ返事で快諾してくれました」

——お酒好きの人にとってネコダスケの味わいは?

「兵庫県産の山田錦を100%使い、すっきりとした中に米が持つうま味とコクをしっかりと感じられるよう仕上げました。辰馬本家酒造は日本を代表する酒どころ、灘五郷の一角『西宮郷』にあって、天然の湧き水『宮水』が生み出すふくよかな味わいを楽しんでもらいたいです」

「うちの猫3匹には『ネコダスケが売れて、あなたたちのように幸せになる猫が増えたらいいね』って話しかけています」

18日から直営店の「白鹿クラシックス」(西宮市鞍掛町)で販売。同社商品部広報担当TEL:0798・32・2812(神戸新聞・浮田志保)

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