写真をひと目見ただけで「この子猫を迎えたい」すっかり家族に溶け込んで、何年も前からいたみたい

渡辺 陽 渡辺 陽

沖縄県の公園に遺棄されていた子猫

ピーリーちゃん(生後3カ月・オス)は、2021年3月、 沖縄県北部の公園に遺棄されていたところを地域の猫ボランティアが発見した。母猫や兄弟猫は見当たらず、1匹だけでいたという。推定1カ月半~2カ月未満、体重は1kgに満たず、やせこけていた。

神奈川県に住む市礒(いちし)さん宅では、小学3年生の長男がどうしても猫を飼いたいと言い始めた。「生き物を飼うとなると、お世話をすることはもちろん、その子の命を見届けること、その子が家族として一緒に暮らしていくために、環境の変化が生じることがあるということを事前に家族みんなで話し合いました」

父親は、今飼っているメダカの餌やりを1カ月忘れずに続けられたら、猫を飼うことを少し考えてもいいと言った。

「8歳の子に毎朝忘れずに餌をあげるというのは少しハードルが高いかなと思いましたが、毎朝忘れることなく1カ月あげ続けました。たまたまその週に、近くのホームセンターで、コロナで延期になっていた猫の譲渡会が開催されると知り、まるで申し合わせたようなタイミングの良さにも驚きました」

初めての譲渡会参加

市礒さん一家は、初めて譲渡会に参加してみた。「猫を飼うにあたり、里親を探している子を迎えることを条件にしていたんです」

譲渡会で長男が気に入ったのは、3、4歳くらいの成猫と7カ月くらいの子猫だった。市礒さんは、どちらか1匹を飼いたいと希望を出した。しかし、翌日保護団体から連絡があり、2匹の里親は別の人に決まったと言われた。保護団体は、猫の性格や里親候補の家族構成や環境を考慮した上で検討し、譲渡先を決める。

後日、譲渡会を主催した団体のボランティアから、「保護されたばかりでまだシェルターに到着していませんが、人懐っこい子猫なのでいかがでしょうか」という連絡があった。

「その子の写真を送ってもらったのですが、ひと目見ただけで家族みんな『この子を迎えたい』と思いました。その子猫がピーリーだったんです」

沖縄で保護されたばかりのピーリーちゃんは、原因不明の食欲不振となり、数日間動物病院に入院した。その後、特に問題がないようなので、沖縄県からはるばる神奈川県へと飛行機で移動して、預かりボランティアのところに来たという。

ずっと前から家族だったみたい

4月8日、市礒さんのところにボランティアがピーリーちゃんを連れてきてくれた。

「あらかじめ聞いていた通り人懐っこく、怖がったり怒ったりしない穏やかな性格の子猫でした。うちに来ると早速、家の中を探検していました」

すぐに新しい環境になじめると思ったのもつかの間、初日は水しか飲まず、2日後には咳や下痢、嘔吐をした。動物病院に連れて行くと、環境の変化で体調を崩してしまったようだった。その後は体調を崩すことなく食欲も戻ったという。

家族それぞれ名前の提案をして、最後は命名権のくじ引きをして長男が当たり、長男が好きなゲームのキャラクターの名前から、ピーリーという名前にした。

今では長男の背中に乗ったまま寝たり、眠くなったらケージ内のハンモックに勝手に入り寝ていたり、自由に過ごしている。

朝早くピーリーちゃんが喉を鳴らすゴロゴロ~の音が近くから聞こえてくるなと思ったら、ピーリーちゃんの横で寝ていた次男(3歳)の耳を、ペロペロと舐めていた。寝ぼけ眼の次男が「ありがと~」と言いながら起きてきて、市礒さんは、「すっかり仲良し兄弟になったな」と安堵した。

「猫初心者の我が家ですが、とっても飼いやすい猫です。ピーリーを迎え入れても、良い意味で何も変化がなくて、何年も家族の一員だったような感じで、すっかり家族に溶け込んでいます。子猫の時に出会えたので、日に日に身体が大きくなったり、走るスピードやよじ登る力など身体能力が向上したり、日々成長を見守ることができて嬉しいです」

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