毎朝、歯磨きの際に「オエッ!」 どうしたらいい?

ドクター備忘録

中塚 美智子 中塚 美智子

 朝歯磨きの際に「オエッ!」となるご主人、それを否応なく聞かされる奥様。どちらも辛いですが、奥様方の中にはご主人の「オエッ!」が生理的に受け付けられないという厳しいご意見をお持ちの方もいらっしゃるようです。朝の歯磨きの際に寝ぼけていて歯ブラシをつい喉や舌の奥に突っ込み過ぎる、歯磨き粉から発生する大量の泡を飲み込みそうになる、といった原因も考えられなくはないですが、毎朝残念な失敗を大の大人が繰り返しているとも思えません。なぜ吐きそうになるのでしょうか。

 先日知人から興味深い話を聞きました。その方は俗にいうヘビースモーカーで、毎朝歯磨きの時に吐きそうになっていたものの、10年ほど前にタバコを止めてからはその気持ち悪さがなくなったのだそうです。たまたまこの知人がそうだっただけではないかと思い少し調べてみましたが、他にも同じようなことをおっしゃっている卒煙者の方々がいました。

 タバコに含まれるニコチンは体内に入ることで吐き気を起こすことがあるため、その影響により歯磨きの際に気持ち悪くなっている可能性があります。また、タバコを吸うことによって痰の分泌が増えますが、それが異物と認識されて吐きそうになっていることも考えられます。特に、お酒もタバコも大好きな方は前日の夜に飲んだアルコールにより口の中の水分量が少なくなっているため、痰の異物感が強くなるかもしれません。

 食べ過ぎたりお酒を飲み過ぎたりした翌日は、二日酔いの影響もあって気持ち悪いことが多いですね。また睡眠不足、疲れている、ストレスが溜まっているなど、自律神経が乱れた状態で朝歯磨きをすると吐きそうになることがあります。さらに、近年中高年のみならず若い人にも増加しているといわれる逆流性食道炎になっている場合、症状の一つとして奥歯を磨いている時に気持ち悪くなることがあるようです。

 このほか、妊娠中や口の中に物が入ることに過敏になっている場合、時間に関係なく歯磨きで気持ち悪くなることがあります。ひどくなると歯磨き自体が難しくなり、虫歯や歯周病、口臭の悪化につながります。歯科治療が必要であるにもかかわらず吐きそうになって治療ができない場合、静脈内鎮静法なども併用して行う方法もあります。お悩みの方はぜひ一度歯科医師に相談しましょう。

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