「タンタンが心臓病!?」。ジャイアントパンダの中でも小柄で短め手脚の「まんまるボディ」を武器に多くの人を魅了する神戸市立王子動物園のタンタン(25歳、メス)について先日、気になるニュースが発表され、公式Twitter上はファンたちの悲鳴級の反応で騒然となりました。
「とにかくちゃんと治してあげて」
タンタンといえば、昨年5月、協定に基づいて秋にも中国に返還されることが発表されたもののコロナ禍で協議が進まず延び延びに。ファンたちは高ぶる気持ちを抑えつつタンタンとの「貴重な時間」を過ごしてきました。そんな最中の突然の事態に「心臓病なのに飛行機に乗るなんて大丈夫?」「辛いのでは?」「とにかくちゃんと治してあげて!」「できるならこのまま王子に…」と祈るような声が飛び交い、パンダ館の前では「少しでも静かな環境でゆっくり過ごして」とカメラの連写を控えたり、動画撮影に切り替えたりと気遣うファンたちの姿がありました。
体調によっては観覧中止の可能性も示唆される中、公式Twitterでは彼氏目線の濃厚ツイートを続ける「ぼく」さんが、中国返還発表時から続けるハッシュタグ「#また明日ね」の“進化版”「#また明日ねを続けていけるように」を付けて「これからも元気にすごしてもらえるよう努めます」と決意表明。緊急事態宣言発令で閉園となった4月25日には静かな園内で久しぶりに外の運動場に出て、お気に入りのタイヤに座ってのんびりとタケを食べるタンタンの姿も発信され、ファンもほっと一安心です。
でも一体、今後はどうなるのでしょう。飼育展示係長で獣医師の谷口さんに聞いてみました。
飛行機に乗って大丈夫?…「分からない」
―タンタンが中国に帰るのは決まっていることとは言え、飛行機に乗ったり、長距離の移動は実際可能なのでしょうか。
「分からないです。タンタンの返還については、新型コロナウイルスの状況や直行便の状況等を踏まえて協議することとなっています。病状等についても中国側と情報を共有しており、これらの状況も踏まえて具体的な返還手続き等について協議することになります。具体的な協議を行う際には、中国側の専門家(獣医師等)の意見も踏まえて検討することになると思われます」
―投薬治療中とのこと。どのようなお薬をどうやって飲んでもらっているのですか?
「心臓の循環機能が悪化しないよう、今月初旬から、血管拡張剤などを投薬しています。リンゴやブドウに錠剤を入れて与えています。以前から投薬の際にはこのように与えています」
1月下旬から毎日検査、「健康管理を最優先に」
実は、今回の病気の発表の数日前には、タンタンについて「発情の傾向と加齢によりあまり動かない」という発表がされていました。1月ごろからタンタンの肩には直径数センチの毛を剃った部分があり、「ずっと毛が生えて来ないままだね?」と不思議に思うファンたちに、公式Twitterでも「体調管理のため」と説明がされていました。
―ネガティブな内容ですし、今回の情報発信に踏み切るのは大変だったのでは?
「そうですね。今年1月23日の定期健診時に、不整脈と頻脈を認めたことから、その日以降毎日、心臓疾患の疑いを視野に入れて各種検査により健康状態を把握していました。2月9日からは一旦、症状が落ち着いていたため、加齢に伴う症状と判断していたのですが、3月23日に再発して以降、継続的に同様な症状を認めていることから、やはりこのタイミングで公表することとしました」
―たくさんの人がタンタンの様子を気にかけています。
「タンタンの体調を気遣い励ましてくださる多数の声に加え、スタッフへのねぎらいの言葉もいただいており、ありがたいです。引き続きタンタンの健康管理を最優先に考え、治療に尽力しますので、見守っていただければ幸いです」
「チームタンタン」信じて
こうした同園の姿勢に、タンタンを見続けてきた20年来のファンは「ふだんからのトレーニング、きめ細かい観察、ケアがされているからこそ分かったことだと思うので、本当に感謝です」と話し、「タンタンは若く見えて可愛いけれど高齢なのは事実で人間でもいろいろ不調が出てくる年齢。今までどんな窮地もタンタンは乗り越えてきたし、『チームタンタン』ならきっと大丈夫、と信じています」と力強く話してくれました。
頑張れ、タンタン&チームタンタン。そして一日でも長く、元気なタンタンの姿を見られたら…もうそれだけで十分。ファンの率直な気持ちです。