新型コロナウイルスの感染拡大に伴い配偶者からのDVが増加しています。内閣府の調査によると2020年度11月までに寄せられたDV相談件数は過去最多の総数13万2355件。
配偶者のDVから避難する施設がDVシェルターです。実際に赤ちゃんを連れてDVシェルターに逃げ込んだ経験があるA子さん(30代・シングルマザー)にお話を伺いました。
――シェルターに入る不安はありましたか?
そうですね、警察の車でシェルターに送っていただきましたが、到着した日は夜も遅く知らない場所に来て不安でいっぱいでした。最初はシェルターがどのような場所か噂程度にしか知らなかったので、入所することはすごく怖かったです。でも実際に入所した民間シェルターは怖い場所とは程遠く、傷ついた心も体もゆっくり休ませることができる静かな場所でした。またシェルターの職員が24時間体制で常駐されていたので不安はありませんでした。
――シェルターの中の様子を教えてください。
私が入所したシェルターは1DKの個室でとても綺麗な施設でした。部屋には洗濯機もトイレもお風呂もついていました。生活に必要な家電もすべて備わっていて食事は自炊することもできますし、出前も取っていただけるので助かりました。
――着の身着のまま入所しても大丈夫ですか?
はい、施設からは新品の部屋着、下着、おむつ、生活資金(母子二人だと1日3000円まで)など必要なものは準備していただけたので、着の身着のまま逃げ込んでも不自由さはほとんど感じませんでした。可能であれば、財布や母子手帳、赤ちゃん用品、子ども用品、コンタクト用品などを持って避難できるといいですね。
――職員の方が介入してくることや携帯電話の没収はありましたか?
困っているときは手助けをしてくれましたが、介入してくることはありませんでした。携帯電話は旦那から居場所が特定されないようにGPS機能はオフにするように徹底されていましたが、携帯電話を取り上げられることもありませんでした。外出に門限はありましたが事務所に声をかければ自由にできました。
――シェルター生活をする上で気をつけることはありますか?
2点あります。どちらも居場所を知られないようにするためです。
▽旦那名義のキャッシュカードやクレジットカードは使用しないこと。
どれだけお金に困っても決して使ってはいけません。カードを利用してしまうと、使った場所やATMから居場所が特定されてしまうからです。
▽旦那名義の健康保険証を使わないこと。
旦那名義の健康保険証を使って病院を受診すると、後日社会保険事務所等から旦那の元にどこの病院を受診したか通知が届きます。通知により居場所を探し出されてしまう危険があるからです。
DVでいま苦しんでいる方へ
いま暴力を受けているけれど、自分一人ではどうしていいかわからずに苦しんでいる人がいるかもしれません。DVを振るう旦那から逃げることは裏切り行為でも、かわいそうなことでもありません。A子さんは強調します。
「まずはご自身とお子さんの安全を最優先に考えてください。緊急時は躊躇わず警察に通報してください。もしくはシェルターなどに逃げ込んでください」
シェルターについては、「法テラス(日本司法支援センター)」のホームページでも説明されています。
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【法テラス・ホームページ】一時保護施設(シェルター)を利用したい方へ
https://www.houterasu.or.jp/higaishashien/toraburunaiyou/higai_naiyou/dv/faq2.html