疥癬で動けなかった子猫が天真爛漫な愛され猫に!…幸せを招くよう「判」と名づけらえた茶トラくんの今

ふじかわ 陽子 ふじかわ 陽子

猫が仰向けに寝ることを、俗に「ヘソ天」といいます。このヘソ天をキャットタワーのてっぺんで見せてくれるのが、神戸市に住む判くんです。とても表情豊かな猫で、一緒に暮らすKさん一家は判くんを迎えてから笑いが絶えません。

当初は判くんは、「バロン」という名前になるはずだったのだそう。K家のお母さんの好きな猫キャラクターが「バロン」という名前なんですって。ジブリ映画『猫の恩返し』をご存じでしょうか。そこに登場するスマートな猫です。

けれど、迎えた猫の動きは、どう贔屓目に見てもスマートとは程遠いもの。ちょっと間抜けなところもあるので、間の「ロ」を抜いて「バン」。そして、みんなの幸せを招いてほしいという願いから、招き猫の持ち物「小判」の「判」くんとなりました。

先住猫の佐助くんと華ちゃんとは、とても仲良し。妹分の蘭ちゃんとは、付かず離れずの仲。

天真爛漫で人間からも猫からも愛されている判くん、実は元野良猫。生後約2カ月で保護されました。

さぞかし可愛い子猫だったと思いきや、疥癬にかかっていたためお世辞にも可愛いとは言い難い様相。目は瞬膜に半分覆われていたそうです。

そんな幼い日の判くん、大阪府某所で保護された子猫。近くに住む小学生が下校途中、道端でヨロヨロとしている判くんを見つけ、「どうしようどうしよう」と大人を探していたとのこと。そこにちょうど通りがかったのが、保護猫活動をしている女性でした。

女性は弱った判くんを、すぐさま病院へ連れていきます。疥癬はかかってしまうと、動きが鈍くなってしまうもの。このままなら寿命が尽きる前に、カラスなど外敵にやられてしまっていたはずです。

治療のかいあり回復した判くん。里親募集のサイトに掲載され、新しい飼い主を探します。これを見つけたのが、神戸市のKさん一家です。

すでに佐助くんと華ちゃんがいるK家ですが、お母さんは「もう一度、子猫を育てたい!」と密かに願っていたのだそう。

実は佐助くんと華ちゃん、仲が良すぎる猫たちなのです。何をするのも2匹一緒。人間の家族は、ご飯をくれてトイレ掃除をしてくれる人。時々、遊んでやるにゃ。

これが寂しかったお母さんは、里親募集サイトをよく見ていたそうです。「1匹で育てれば、自分にベタベタの猫になってくれるのでは?」子猫の写真を眺めては、そんな妄想を繰り広げます。

そこに、前足をちょこっと出した判くんの写真が目に飛び込んできました。

「この子、可愛い!」

そう思った瞬間には、保護主さんにメールを送っていたとのこと。

保護主さんとメールでやり取りをしている中、判くんが疥癬にかかっていたことを知らされます。瞬膜が半分閉じた写真も、この時に送ってもらいました。

他の猫よりも体が弱く、手がかかる可能性のある判くん。手だけでなく、お金もかかる可能性も……。保護主さんは、せめて去勢手術代だけでも負担しようかと申し出てくれます。

その申し出をお母さんは、キッパリ断りました。

「だって、うちの子になるのにお金を出してもらうのはおかしいでしょ?猫にお金がかかるのは当たり前なんですし」

この断りから、保護主さんはK家を信頼してくれるように。その後、判くんは晴れてK家の一員となります。

K家に迎えられた判くん、先住猫の佐助くんと華ちゃんに可愛がられながらすくすく大きくなります。お母さんの目論見通り、人間にもベタベタの猫になったのだそう。今ではお母さんの家庭内ストーカーなんですって。

お母さんに、判くんのお気に入りポイントを教えてもらいました。前足、手なのだそうです。

「白いところもうっすら虎模様なんですよ。丸くて本当に可愛い!これを見た時、うちの子にしたいと思ったんです」

招き猫になるようにと名付けられた判くん。彼の手が最初に招いたのは、自分のずっとの家だったようですね。

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