話題のラーメン店「チャーシュー力」は「消臭力」の元ネタだった!? ネーミングについて製造元を直撃、貴闘力も浮上!

北村 泰介 北村 泰介
2000年発売当時の「消臭力」。今もそうだが、発売当初から「力」には「リキ」とフリガナが付いている
2000年発売当時の「消臭力」。今もそうだが、発売当初から「力」には「リキ」とフリガナが付いている

 埼玉県を拠点に4店舗で展開するラーメンチェーン店「チャーシュー力」が、そのネーミングによってSNSで話題になった。店名の由来は元プロレスラー・長州力なのだが、実はもう一つの「説」として消臭芳香剤「消臭力」を由来とする声がツイッターや、現地でも起きていた。取材すると、関係者の間では「チャーシュー力が消臭力の元ネタ」という説もあるという。実際のところはどうなのだろうか。消臭力を製造販売するエステー株式会社の担当者にうかがった。

 2月初旬、「チャーシュー力」川越店の看板画像がツイッターに投稿された際、「店名の元ネタはやはり長州力かなぁ…」という声がある一方で、「なんでだろう…西川貴教の声で歌いたくなる…」とCМを引用して消臭力のイメージを指摘する声もあり、SNSでは長州力派と消臭力派に二分された。

 正解は、冒頭でタネ明かしした通り、長州力に由来。1995年から、1号店である川越市の南大塚店(99年に移転して新狭山店)でその屋号を名乗っているという。同チェーン本部のオーナー・溝呂木健一さんは「それから7、8年後(2002年か03年)に長州さんの道場で飲みながら公認をいただきました」と明かす。

 03年に埼玉・三芳店、07年に東京・東久留米店と展開し、20年5月にオープンしたのが川越店。他の郊外型店舗と違い、駅前の繁華街にあるため、道行く人が足を止めて看板の写真だけを撮ることが多いという。

 川越店の恵比原裕次郎店長は「若い女性が通りすがりに看板を見て『消臭力をパクッてるよ』と言っている声を聞いたことがあって、『長州さんなんだけどなぁ…』と思ったこともありました」と明かす。恵比原さんは「それも時代ですよね。そう(消臭力と)いうのも分かるんですよ。ただ、長州さんは長瀬智也さん主演のドラマ(TBS系『俺の家の話』)やジャニーズの番組にも出られているので、違う層の人たちにも知られていけば…」との思いも語った。

 一方、溝呂木さんは「消臭力のネーミングを考えた人はうちの店名をヒントに会社にプレゼンして決まった名前だと聞いたことがあります」と証言した。消臭力の発売は2000年で、チャーシュー力の店名を掲げた5年後になる。そこで、実際に確かめてみた。

 エステー株式会社の担当者は当サイトの取材に対して「『消臭力』というネーミングは、開発当時、従来の芳香剤と違った『大容量で強力、長持ち』という商品コンセプトの新製品でしたので、消臭パワーの『力強さ』を表現するために『消臭力』という商品名を採用しております」と説明した。

 つまり、ポイントになるのは力強さを表す「力」というキーワード。そして、なんと言っても、「力」を「りょく」ではなく「りき」という読みにしたことがポイントだ。その意図について改めて確認した。

 同社の担当者は「『怪力』、『力士』、『10万馬力』などのように、『力(りょく)』ではなく、『力(りき)』と呼んだり、力士の貴闘力さんやプロレスラーの長州力さんなど、『力』とつく人は強いイメージもありましたので、力強さを表現するためにあえて『消臭力(りき)』というネーミングになっております」と説明した。

 ちなみに、消臭力が発売された2000年、大相撲の元関脇貴闘力は春場所で史上初(当時)の幕尻優勝を遂げており、そのインパクトも残像としてあったのではと推測されている。では、「チャーシュー力」というラーメン店の屋号がヒントになった可能性は?

 同社の担当者は当サイトに対して「当時の開発担当者にも確認させていただいたのですが、特定のものや名前が由来ではございませんので、『チャーシュー力』様のお名前が由来になっているという点に関しては、確認ができませんでした」と回答した。

 結論として、特定の人物や店名が由来ではないということになる。「力(りき)」から喚起される強いイメージに長州力と貴闘力が含まれていたとしても、そのものズバリの引用ではなかったということだった。

 発売当時の反響は大きかった。同社の担当者は「分かりやすいネーミングが功を奏し、発売1年目で1000万個以上売り上げる大ヒットとなりました。また、 翌年(01年)に発売した『お部屋の消臭力』についても、予想以上の売れ行きのために、品切れ状態になったそうです」という。

 長州力、貴闘力、チャーシュー力、消臭力…。今回、SNSの話題から4つの「力(りき)」が絡み合って想像力をかきたてられた。ふと、「竹内力は…?」という問いが頭をよぎったが、もう、キリがないのでこの辺でやめておこう。

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