えっ巨人じゃないの? 読売新聞子会社がライバルの阪神グッズで「キャンペーン」??

広畑 千春 広畑 千春

 神戸市内に住んでいる上司の自宅ポストに、1枚のキャンペーンチラシが入っていたという。透明のビニール袋の中には見覚えのある、虎のワッペンのついた黄色いポケットティッシュも。つられてチラシを見ると…そこには「読売」の文字が。えっ、読売新聞?ジャイアンツじゃなくて、いいの?

 というわけで、手渡されたそのチラシをきちんと見ると、タオルやブルゾンなど阪神タイガースとコラボしたオリジナルグッズの写真が並んだ上、どどんと「2021プロ野球応援キャンペーン」の文字が。確かに昨年来のコロナ禍で、昨年のプロ野球観客動員は、過去最高を記録した2019年から一転、惨憺たる状態に。セ・リーグは275万4626人と前年比81%減で、1952(昭和27)年以来の200万人台になり、パ・リーグも206万8952人と82%も落ち込んだ。先の大戦以来ともいえる危機に、そりゃライバルがどうこうとか言っていられないのかも…と、事務局を務める「読売情報開発大阪」(大阪市)に聞いてみた。

ーこのキャンペーンは、なぜ?

「実は今年始まったものではなくて…。数年前からしているキャンペーンです。弊社は読売新聞大阪本社の子会社で、関西圏での販売促進事業や読者サービス、イベントなどを行っていますが、デジタル化の進展もあってやはり若い方を中心に新聞離れは深刻ですし、なんとか読売新聞に関心を持っていただき、読んでいただきたいという思いで始めました」

ーそうなんですね。でもジャイアンツの読売新聞グループが阪神グッズとは、かなり思い切ったのでは?

「いえ、まあ、確かに読売はジャイアンツなんですが…。もちろん、ジャイアンツグッズを使うキャンペーンもありますが、やはり関西は阪神ファンの方が多いので、喜んでいただけるものをというと背に腹は代えられないというか…。というか、特に大阪や神戸・阪神間など、ジャイアンツグッズを持ってキャンペーンに回る方が怖いです(笑)」

―親会社やファンから驚かれたり、怒られたりは…

「ないです。全く、ないですね(笑)」

 抜き差しならない大人の事情は数々あれど…ライバル同士とか球団という垣根を越えて、プロ野球を盛り上げたい気持ちは同じ。今年の開幕はセ・パともに3月26日です。医療従事者の方々からワクチン接種も始まりましたし、なんとか感染拡大が収まって、今年こそ球場で思い切り応援したいものですね!

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