陸・海・空……そして宇宙をテーマにした「光」の展示。動物園ならぬ「光物園」にステンドグラスが光る。幻想的な空間で、しばし現実を忘れて癒しの時間を過ごす。
4つのブースに鎮座するメインキャラクターたち
大阪府泉大津市にある「アトリエSubaru」で2月14日まで「アーティスト×こども企画展/光物園」が開催されている。これは電機メーカーに勤めながら「光物(こうぶつ)作家」として創作活動をする盛一(もりとき)保洋さんの個展で、併せて「光る!」をテーマに子供たちがワークショップでつくったペーパーワーク作品も展示される。
会場は陸・海・空・宇宙という4つのブースに分かれ、テーマごとにステンドグラスで制作されたキャラクターがLED電球で幻想的に光る。
展示会場の入口で迎えてくれるのは「たばこがやめられない金融業の牛」こと「ウシジマくん」。インパクト満点の「ウシジマくん」は、ステンドグラスではなく竹の骨組みに紙を貼って制作されている。
▽海のブース
会場に入ると、そこは光の世界。まず目に飛び込んできたのが、海のブースにいるシーラカンスだ。もちろん光っている。
「これは『シーラカンスくん』といって、海底ケーブルをかじってしまったために体が光るようになったというストーリー設定にしました」
2色のLED電球を内蔵し、スイッチの切り替えでどちらか1色または2色同時に光らせることができる。そして壁には、子供たちがペーパーワークでつくった「エビ」と「サメ」も光を放っている。
▽空のブース
空のブースにいるのは、カラスをモチーフにしたという「トリキゾくん」。地味な羽根が気に入らないトリキゾくんはクジャクに憧れていて、クジャク柄の服を着て喜んでいるという設定。羽根が広がる構造で、しかも首が伸びて口の中から読書灯が光る。
「クチバシを開け閉めして、光量を調節するようになっています」
よく見ると、胸の中にも赤いランプが点滅している。
「これは『心臓ピコピコモード』です」
そして壁には、子供たちがつくった鳥が舞う。
空のブースの片隅に、円筒形のもじゃもじゃしたものがあった。鳥の巣かなと思っていたら、これは海のブースからはみ出したもので、「ウニ」を飲み込んだ「イソギンチャク園長」だ。中を覗くと、たしかに「光るウニ」をまるごと飲み込んでいた。
「園長なので、この中でいちばん偉いのです」
▽宇宙のブース
宇宙のブースにいるのは「ココペリくん」という、アメリカ先住民の部族間を渡り歩いて幸せを運ぶ精霊だ。ココペリが笛を吹くと、その土地には花が咲き乱れて豊かになるという。
「部族間で使われているシンボルマークを、デザインとしてあしらっています。火や海など、いろんな意味があります」
ここには、ペットボトルと紙皿でつくったUFOが飛び交う。よく見ると、子供の名前が書いてある。
「作品をつくった子が自分の作品を見つけやすいように、わざと低い位置に吊っています」
▽陸のブース
陸のブースには、口が光る「青パカくん」という、摩訶不思議な形をした生物がいる。蛍を飲み込んだために突然変異し、口が光るようになった「元青魚」だそうだ。展示物の中では最も小さいが、それでも製作期間は3カ月くらいかかるという。
この「青パカくん」は、会場の4つのブースを結ぶ真ん中にも展示されている。一見すると空中にユラユラ浮いているようだが、じつはこれは巨大な提灯で、天井から吊られているのだ。
「提灯のつくり方を一から勉強して、初めてつくってみました」
ほかにも、泳ぐ魚の姿を壁と天井に投影するプラネタリウムならぬ「魚ネタリウム」や、家を建て直したときに廃材として出たガラス障子をリサイクルした「RECY-KIRINN(リサイキリン)」、光を当てて影を投影する作品など「光」を楽しむ作品を堪能できる展示会だ。
親子で楽しめるワークショップも
開催期間中はワークショップも開かれている(事前申し込みが必要)。盛一さんが講師を努め、ブースに展示されている「エビ」「サメ」「潜水艦」などを親子で協力してつくる。
カラー画用紙を型紙に沿って切り抜いて形をつくり、ペットボトルと組み合わせて、最後にLED電球を仕込んで完成。
取材に訪れた日も6組の親子が参加し、1回90分のワークショップは和気あいあいとした雰囲気で、楽しみながら作品ができあがっていった。
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「アーティスト×こども企画展/光物園」