1匹の保護猫こももを飼っていたWさん。知り合いから「倉庫に住み着いた2匹の子猫を飼ってくれないか」という話を持ちかけられた。子猫たちは母猫と一緒にいたし、家にはこももちゃんもいた。Wさん夫婦は、悩みに悩んで子猫を見に行くことにした。
子猫を保護してくれないか
兵庫県に住むWさんは小学校の先生をしている。2016年5月、生徒たちが保護した黒猫の子猫を預かり、ミルクを飲ませて育てた。Wさんは里親を探すことも考えたが、飼育するうちに情が移り、こももちゃんと名付けて飼うことにした。
一人っ子として大切に育てられたこももちゃんだが、2020年12月、転機が訪れた。
Wさんの夫の知り合いが管理する倉庫に野良の母猫と2匹の子猫が住み着いた。もともと子猫は3匹いたが、1匹は亡くなったという。
倉庫の持ち主がごはんを与えていたが、うちでは飼えないと困っていたので、知り合いからWさんの夫に「子猫を保護してくれないか」という話が舞い込んだ。
母猫も心配、でも、子猫の命も大事
Wさん夫婦は母子猫のことが気になったが、母猫もいるし、家には先住猫のこももちゃんもいた。母子一緒に引き取ることは難しいので悩みに悩んだ。しかし、「考えていても仕方ない。とにかく一度見に行こう」ということになった。
倉庫に行くと、三毛猫と茶トラ猫の子猫が元気に走り回っていた。特に三毛猫は怖いもの知らずで、好奇心旺盛。初めて会ったWさんの足元に絡みついて甘えてきた。
「倉庫の持ち主によると、最近、母猫は見かけなくなったということでした。母猫も心配だが、これから寒くなるので子猫が心配。子猫の命を第一に考え、引き取ることにしたんです」
天真爛漫な2匹の子猫
引き取ったその足で動物病院に連れて行くと、生後約7週齢ということが分かった。2匹とも元気に育っていると言われた。
家に連れて帰ると、先住猫のこももちゃんはフーッと威嚇し、2階に引きこもってしまった。一方、子猫たちは部屋の中を駆け回り、姉弟でじゃれあった。初めて来た場所なのに、まったくそんなことは意に介さず、堂々としていた。Wさん一家は思わず笑ってしまったという。
1週間ほどかかったが、こももちゃんもなれてきて、鼻で挨拶を交わすようになった。
女の子の三毛猫はくるみちゃんと名付けた。茶トラの男の子は茶々丸くん。くるみちゃんはとにかくお転婆でものおじしない。茶々丸くんはおっとりしていて、いつもくるみちゃんの後を追いかけているそうだ。
「2匹で追いかけっこをしたり、引っ付いて寝たり、毎日私たちを癒してくれます」
こももちゃんとはまだ少し距離があるが、Wさんは3匹の猫団子が見られる日を楽しみにしている。