ミスター&ミス関大、グランプリはフォロワー40万人超有名ティックトッカー「人の心を動かす仕事がしたい」

杉田 康人 杉田 康人

関関同立と呼ばれる関西の私立4大学のミスキャンパスコンテストが昨年11、12月に相次いで開催された。昨年12月13日に、大阪市内からオンライン配信された関西大学のミスキャンパスコンテスト「ミスター&ミスキャンパス関大2020」の舞台裏に潜入。グランプリに選ばれた学生の応募動機や、コロナ禍などでの〝逆風〟が吹く中での開催意義を聞いた。

ミスター&ミスキャンパス関大は、大学は公認せず学生有志が主催するミスキャンパスコンテストとして2010年にスタート。関関同立の中では唯一、ミスとともに「ミスター」を選ぶコンテストを行っている。過去の受賞者の中から女子アナを多数輩出し、アナウンサーの登竜門との声もある。

いつもは公募や、新入学シーズンでの勧誘で応募者を集めていた。面接などで20人に絞り込み、毎年7月に男女6人ずつのファイナリストを選出するイベントを開催。12月に大阪市内の百貨店内で行う決勝大会で、当日の観客とウェブ投票で男女のグランプリを決めていた。

2020年は、コロナ禍で大学の春学期の授業がオンラインになり、学生がキャンパスに登校しない状態に。勧誘やイベントができず、8月に主催団体がファイナリスト男女6人ずつを発表する形で活動がスタートした。男女のグランプリを決める12月のイベントは無観客に。YouTubeでのライブ配信に変更された。

ミスター&ミスキャンパス関大は、容姿ではなくツイッターやインスタグラムなどでの「発信力」を競うコンテストをうたう。個々にSNSでの公式アカウントが振られ、学生生活や将来の夢などをつぶやく〝選挙活動〟で連日ウェブ投票を呼びかけてきた。

約3時間のライブ配信では、瞬間最大で約1000人が視聴。第9代ミスター関大に選ばれた人間健康学部2年生のマトバマテウス学さん(20)は、TikTokで活躍する男子5人組グループ「トライズム」のメンバー。YouTubeと合わせたフォロワー数は、40万人を超える。プロサッカー選手を目指しブラジル留学も経験したが、自身の実力では叶わないことを悟り夢を断念したという。

人前に立ち、影響力を与える人間になりたかったと応募のきっかけを語るマトバさん。ミスター関大での活動で認知度も増え、TikTokでのフォロワー数も急増。芸能関係者からの誘いも来ている。「サッカーではつかみ取れなかった理想の自分になれる。人の心を動かす仕事がしたい」と、新しいステージを夢見ていた。

第11代ミス関大に選ばれた商学部3年生の岸本沙季さん(21)は、コロナ禍での自粛期間中に立候補を決意した。これまでの大学生活で一切、興味を持つことがなかったというミスキャンパス。ステイホームの中、さまざまな人が世の中を明るくするためにSNSで発信しているのを目の当たりにして「自分にも何かできないか」という思いが生まれたという。

ミスキャンパスの活動を通じて、世間を明るくしたいという目標に全力を注いだという岸本さん。「人の命を助けることはできないが、インスタライブなどで家でじっとしている誰かの話し相手になったり、コンテンツを送ることはできる。私を見て、誰かが何かしらプラスの感情を抱いてくれたらうれしいです」と語った。

コロナ禍で「ミス―」を実施していた多くの大学の学園祭が、対面での実施を取りやめた。法政大が2019年に「一切容認しない」との声明を発表。東京大の「ミス東大コンテスト」では昨年、ファイナリストが主催団体のセクハラを訴え騒動になるなど、ミスキャンパスを取り巻く状況は厳しくなった。

ミスター&ミスキャンパス関大を主催する学生団体「SCM」代表で化学生命工学部4年生の内木祥太さん(22)は、SNSでの発信力を競うコンテストであることを強調。逆風は感じつつも「厳しい世の中だったこそ、何かをしようとする思いは世間に届いたのでは。学生のチャレンジする姿勢を大切にしたかった」と意義を話した。

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