野良の雄猫が連れて来た子猫、尻尾の先が壊死していたので家猫にすることに 美しく成長した今も恩は忘れず

渡辺 陽 渡辺 陽

野良の雄猫が1匹の子猫を連れて来た。よく見ると、尻尾の先端が壊死している。茨城県に住むHさんは2匹の猫を飼っていて、もうこれ以上家猫を増やさないと決めていたが、心配のあまり動物病院に連れて行って治療した。しかし、外猫のままでは看病するのは難しかった。

 

野良の雄猫が連れてきた子猫

2017年春から、茨城県に住むHさん宅の庭にブラックスモークの若い雄猫、 こげ茶さんが遊びに来るようになった。 農家が点在する田舎で、 野良猫のこげ茶さんは、あちらこちらの家でいろんな名前で呼ばれていた。

Hさん宅の猫、トゥトゥちゃんとキトちゃんとは、網戸越しのお付き合いで、 Hさん夫妻にもすぐに慣れて甘えるようになった。

7月末のある日、こげ茶さんが小さな子猫を1匹連れてきた。 まだ生後1ヶ月ほどの小さな猫はこげ茶さんの後をついて歩き、 くっついて寝て、 こげ茶さんも子猫の遊びの相手をしてあげていた。 こげ茶さんが出かけている時は、子猫は納屋に隠れて過ごしていた。

Hさんは、まだ小さな子猫なので気にはなっていたが、うちで飼うのは2匹までーと決めていたので、 このまま庭にいつくなら外猫としてお世話をしようと思っていた。

尻尾の先が壊死していた

しかしある日、 子猫が長い尻尾の先を引きずっていた。 元気に走り回っていたが、尻尾の先に力が入っていない。その時はまだ子猫は人を怖がって逃げていたので、尻尾の状態を確認することができなかった。しかし、 半月ほどしてやっと触れるようになった時、 引きずって汚れた尻尾の先を洗おうとしたら、 半分から先が細く干からびて壊死していた。

「どうしよう、 このまま放っておくとどんどん壊死が広がって尻尾がどんどん短くなってしまうのだろうか? 」

Hさん夫妻は、とりあえず動物病院の予約をして連れて行くことにした。病院に行く時間になったので子猫を捕まえようとしたところ、 何か小さく毛の生えたものを投げたり捕まえたりして遊んでいた。子ねずみでも捕まえたのかと思って近づくと、 それは千切れた子猫の尻尾だった。 子猫は自分のちぎれた尻尾で遊んでいたのだ。壊死した尻尾は取れたが、 病院は予約済みだったので連れて行き、薬を出してもらったという。

尻尾が取れた子猫はとても元気だったので、 Hさん夫妻は薬を与えながら、そのまま外で世話をすることにした。外ではこげ茶さんがお世話を続けてくれていた。

しかし、外ではカラーを付けられないので、 どうしても傷跡を舐めてしまい、 できたかさぶたがはがれて、なかなか治らなかった。

「私たちは家族でたくさん話し合い、2匹までと決めていたけれど 、3匹目としてこの子猫をうちの子にすることに決めました。その頃には子猫を抱っこすることもできていたので、 こげ茶さんが連れてきてちょうど1ヶ月後の8月末、 子猫はうちの子になりました」

先代猫の名であるキトゥミールを継承し、 愛称をミリちゃんにした。

猫は恩を3日で忘れる?

トゥトゥちゃんとキトちゃんとは網戸越しにすでに知った仲だったので、 ミリちゃんを家に入れても特に問題はなく、 特にキトちゃんはミリちゃんと遊びたくて喜んでいた。 ミリちゃんもキトちゃんと追いかけっこをしたりして元気に遊んでいた。しかし、休む時はこげ茶さんに一番近い玄関で、ひとりで寝ていた。 こげ茶さんを玄関に入れると、ミリちゃんは大喜びでこげ茶さんに抱きついて戯れていたという。

しかし、Hさんの子になって4日目、 昨日まであんなにこげ茶さんを慕っていたミリちゃんが、 玄関で寝るのをやめ、こげ茶さんに反応しなくなった。猫は3年の恩を3日で忘れると言うが、ミリちゃんは本当に1ヶ月の恩を3日で忘れてしまったかのようだった。ただ、それは、トゥトゥちゃんとの遊びやおもちゃ、おいしいごはんなど、外の世界にはなかった楽しみに夢中になっただけ。

あれから3年半が経った今もこげ茶さんは庭に来ている。 ミリちゃんはこげ茶さんのことを覚えているようで、 こげ茶さんを玄関に入れると飛んでいってにおいを嗅いで挨拶する。逆にこげ茶さんはもうミリちゃんのことを覚えていないようで、 特別反応しない。

「命を助けられたミリは恩人ならぬ恩猫を覚えていますが、 助けた側のこげ茶さんは恩を着せることなく、きれいに忘れている。素敵だと思いました」

なんでもお姉さん猫の真似をしてみる

何かにトゥトゥちゃんとキトちゃんが夢中になっている時、 ミリちゃんも一緒になってワクワクしながら参加する。

しかし、ミリちゃんは、 実はトゥトゥちゃんとキトちゃんが何に夢中になっているのかよく分かっていないことがよくある。よく分からないが、とりあえずお姉ちゃんたちと同じことをする。それがミリちゃんのポリシーのようだ。3歳半になった今でも、それは変わっていない。

Hさんにとって3匹の猫と暮らすというのは想定外だったが、 お世話の負担は2匹でも3匹でもあまり変わらなかった。 しかし、トゥトゥちゃんやキトちゃんとは全く違う個性を持ったミリちゃんが家族に加わったことで、楽しさや喜びが増えたという。ただ、3匹ともほとんど同じ年なので、 シニアになった時に、同時に闘病や介護が必要になるかもしれない。 Hさんはそのことを少し心配している。

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