コロナ禍で迎えた異例の新年。外出自粛やテレワークなど、私たちの生活様式は大きく変わり、ビジネスも変革が求められています。そんな中、忙しいジネスリーダーたちに最も読まれてきた「ビジネス書の要約」のランキングが発表され、話題になっています。1位はデータを元に世界を正しく見る習慣について説く『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(ハンス・ロスリング 他著/日経BP社)でした。今日の不穏な情勢に対する経営者・マネジメント層の人たちの危機意識が反映しているかもしれません。
話題になっているのは、新刊ビジネス情報雑誌『TOPPOINT(トップポイント)』がこのほど公表したランキング、定期購読者専用WEBサービスにおける「2020年最も多く閲覧された書籍ベスト10冊」です。TOPPOINTは毎月出版されるビジネス関連の新刊書の中から、「一読の価値ある本」を厳選し、その要約を紹介する月刊誌。1987年の創刊以来、30年以上にわたって第一線のビジネスリーダーを中心に愛読され、現在1万名以上の読者の方々に購読されているといいます。WEBでは最新号から過去のバックナンバーまで、『TOPPOINT』で紹介した1700冊以上の書籍の要約を掲載しおり、そこでの年間閲覧数を集計して上位10冊を発表しました。
ベスト10は以下の通りです。
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▽1位 『FACTFULNESS』ハンス・ロスリング 他著/日経BP社
▽2位 『プロカウンセラーのコミュニケーション術』東山紘久 著/創元社
▽3位 『共感経営』野中郁次郎、勝見 明 著/日経BP・日本経済新聞出版本部
▽4位 『絶望を希望に変える経済学』アビジット・V・バナジー 他著/日経BP・日本経済新聞出版本部
▽5位 『上杉鷹山の経営学』童門冬二 著/PHP研究所(PHP文庫)
▽6位 『直観を磨く』田坂広志 著/講談社(講談社現代新書)
▽7位 『危機と人類〔上〕〔下〕』ジャレド・ダイアモンド 著/日本経済新聞出版社
▽8位 『ポストコロナの経済学』熊谷亮丸 著/日経BP
▽9位 『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』マーシャル・ゴールドスミス 他著/日本経済新聞出版社
▽10位 『SUPER MTG スーパー・ミーティング』スティーヴン・G・ロゲルバーグ 著/サンマーク出版
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なお、『FACTFULNESS』は2019年1月に邦訳版が刊行。閲覧数のランキングでは昨年に続いて2年連続での1位となったといいます。
『TOPPOINT』の購読者は、約半数が経営者層、7割近くがマネジメント層だといます。ランキングに入った書籍の内容をひもとけば、ビジネスリーダー層がどのようなことに関心を寄せているのかが、見えてくるかもしれません。
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・資本主義のあり方を見直す『共感経営』(3位)
・不平等がはびこる社会に警鐘を鳴らす『絶望を希望に変える経済学』(4位)
・深く考えるための技法を説いた、2020年上半期TOPPOINT大賞受賞の『直観を磨く』(6位)
・国家的危機の解決法について考察する『危機と人類』(7位)
・アフター・コロナのグローバルな構造変化を予測する『ポストコロナの経済学』(8位)
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ランキングについて同誌は、新型コロナの影響がうかがえるといいます。「激変したビジネス環境に対し、『企業や個人はこの危機をどう乗り越えればいいのか』といった観点から書かれた書籍が読まれています」と説明。また、『新自由主義の行きすぎにより、資本主義のあり方が見直される時期に来ているのではないか』といったマクロの視点から書かれた書籍も上位にランクインしています」と述べています。